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Posted by - 2024.04.24,Wed
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Posted by Ru Na - 2015.05.03,Sun
ラ・フォルジュルネが開催中である。

    

いつもゴールデンウィーク中なので、他の予定とぶつかってなかなか行けない。
今年は特に、新幹線開業で例年より人も多いだろう。私は人ごみが苦手である。
が、今回のテーマは無視できない私の大好きな「バロック時代の音楽」。
いろんな古楽アンサンブル等による魅力的なプログラムが目白押し。
マラン・マレのヴィォール曲など、曲名を見るだけでうっとりしてしまう
公演予定表を見ていて、中野振一郎のコンサートを見つけてしまった。
地方ではその生演奏を聴く機会はなかなか廻ってこない。
どうしても欠かしたくなくて、前売り券を買ってしまった。

中野振一郎は、世界の優れたチェンバロ奏者十指の一人で、
ラジオやTVで聴くその演奏にいつも惹かれてきた。
お昼過ぎのあまり都合がよくない時間帯だが、何とか時間をやりくりして
出かけた。
いつもアウトドアのいでたちで川原や森ばかりに行っていて、
近頃あまり街なかを通らないので、駅周辺の普通の服装をした人の雑踏が
かえって新鮮に思えた。

駅前では吹奏楽団の演奏、県立音楽堂の前の広場には椅子とテーブルが並らび、
音楽堂で売っているランチボックスを、ビールと共に広げている人々。

        

地下のコンコースでは、楽器体験コーナーに列ができていた。
時間があったら私もハープに触ってみたい。

コンサートは、J,S.バッハ、パーセル、F.クープラン、フローベルガー
と、バロックのお国めぐりの趣向。
中野さんのユーモアあふれる軽妙な説明が間にはさまれる。
その語りのすぐ後に、其々の国のバロック音楽の特徴や雰囲気を
弾き分けた演奏に入っていけるなんて、やはり只者ではない。
こじんまりして室内楽向きのアートホールが、チェンバロの
華麗で繊細な音に満たされ、17世紀のヨーロッパの典雅な宮廷というより、
それより前の時代のゴシック建築、それもケルンやランスの大伽藍の、
全ての石が力学的に正しい位置に収まり、どれ一つとして取り除くことは
出来ない緊張感の上に積み上げられたアーチや空に向かって聳える尖塔を
見るような心持がした。

最後の曲は、J.S.バッハの無伴奏ヴァイオリンパルティータの
有名なシャコンヌを、中野さんがチェンバロ用に編曲した大作。
ギドン・クレーメルの素敵なカデンツァ付きの演奏や、ブゾーニ編曲の
ピアノ版-ミケランジェリの演奏に匹敵する美しさだった。

 

チェンバロの鍵盤は二段になっている。この鍵盤から
とても一人の奏者によるとは思えないほどの、色彩豊かで厚みのある
音が紡ぎ出されたのだった。

  

感動覚めやらぬ心地で、音楽堂のエントランスホールにいたら、
何と中野振一郎御本人が普通の通行人のような顔で現れ、
少しお話しすることもできた。そして握手も!
鍵盤奏者でこんな気楽に握手に応じてくださるなんて・・・・。
世界的な有名人なのに、偉ぶるところが微塵もない
とても気さくな方だった。
だから、このようなストレートに“音楽そのもの”(G.グールドが
リヒテルへの敬意に使った言葉)に入り込む演奏ができるのか。
元々ファンだが、いっそう大ファンになった。














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