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Posted by - 2024.04.26,Fri
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Posted by Ru Na - 2016.08.25,Thu
いつの間にかリオデジャネイロ・オリンピックが始まり、
いつの間にか終わった。
そのどさくさに、伊方原発は再起動し、海外派兵された自衛隊は
戦争法制の理由となった“邦人救出”の演習など行っていた。

いつもは大抵、オリンピックもある程度熱心に見ているのだが、
いま一つ盛り上らない気分で(だいたい忙しすぎる日常で)、
何だか日本はずい分メダルを取ったらしい、でも、「日本が日本が、」と
国家を強調するのは、スポーツ国際試合の興を削ぐなあ、など
これまたいつもの如く、半ば批判的に、それでも
テニスの錦織選手の3位決定戦のVTRだけは、目が離せなくなって
つい見てしまった。

テニスの試合は、自分が昔やっていたせいもあるかもしれないが、
見始めるとつい引き込まれてしまう。
レベルの高い試合ともなると、白枠で囲まれた矩形を行き来する
小さな球が空間に描く線が見事で、その軌跡に沿って
見る者の視線の動きが、空間軸と時間軸にその線をどんどん密集させて、
まるで想念上のドローイングのようである。

“線”といえば、この期間中に足を運んだビアズリー展。

  

19世紀末のイギリスに彗星の如く現れて、瞬くうちに世界を魅了し
多大な影響を残した夭折の画家。
大正時代の日本の挿絵の雰囲気も、ビアズリーの影響なしには語れない。
白と黒のコントラストやバランスや、大胆な曲線の構図。
あくまでも細く簡潔な曲線が、蔓草のように生き生きと伸びやか、
かつ無駄が無く的確で、その絶妙な装飾性と相まって耽美な世界を醸す。
毒を含んでいるが、決して隠微には陥らない。

私は10代の頃からビアズリーに惹かれ、画集も買ったりしていたが、
解説など読まないので、ビアズリーが20歳から26歳で亡くなるまでの
ほんの短い期間にこれだけの仕事を残したと、この展覧会で改めて知った。
また、実際の原画が想像していたよりずっと小さいのに驚いた。
小さな画面にこれだけの細密な線が描き入れられているのである。

   

この、「ヨカナーンとサロメ」は、お気に入りの作品の一つだが、
昔イギリスで大型ポスターを買って、長い間自分の部屋に飾っていたので、
自分の頭の中ではポスターサイズの大きな絵に変容していたのだった。

この展覧会で興味深かったのは、彼のイラストが載った本の実物が
多く見られたこと。
これもまた、思っていたより小型で厚く、とても装丁がしっかりしていて、
当時の人は、書店で簡単にこのような美しい本を買えたのだと
うらやましくなった。

       

マロリーの「アーサー王の死」。



アーサー王物語が大好き。こんな本が喉から手が出るほど欲しい---。
など想いつつ、暗くした照明のガラスケースに貼りついて見ていた。

       

イエローブック。

 

展覧会では、ビアズリーが影響を受けたジャポニスム関連の資料、
ビアズリーが影響を与えたヨーロッパや日本の作家の作品展示も
充実していた。

    

上は、当時のイギリスで出版されていたジャポニスム関係の書籍。
松の木の上で営巣するアオサギと巣の中の3羽のヒナ。
アオサギはイギリスにもいて、日本よりずっと大切にされているらしい。
アオサギの英名、ヘロンさんという苗字も多いと聞く。
(小泉八雲も、そのヘロンさんです。)
鶴ではなくアオサギを表紙に持ってきたというのが、とても面白く
感じられた。
















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