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Posted by - 2024.04.20,Sat
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Posted by Ru Na - 2015.05.30,Sat
今年生誕100年のスヴャトスラフ・リヒテル。
最後の巨匠、20世紀最大のピアニストと、どれだけ賞賛しても
し尽せないこのピアノの巨人に、世界中の人が其々の褪せぬ想いを
抱いていることだろう。
私も折に触れて、“私のリヒテル”を書いてみたいと思っていたが、
十分な言葉にし難くて躊躇していた。
先日、朝日新聞の文化欄で取り上げられていたのをきっかけに、
時々メモのように書き連ねてみようと思い立った。

      

私が好きな3大ピアニストは、G.グールド、リヒテル、ミケランジェリである。
そのうちリヒテルは、演奏者として最初に好きになった、
いわば初恋のピアニストである。

高校生になったばかりの春、音大を目指す同級生の演奏会に行った。
皆きれいなドレスを着て演奏するピアノ教室の発表会で、
一人だけシンプルなズボン姿で弾いた彼女の曲が、ベートーヴェンの
ピアノソナタ“悲愴”の第1楽章。
実はこの時初めてこの曲を聴いたのだった。
小柄な彼女が生み出す迫力の音量。この曲にすっかり魅せられてしまった。
そして次の週には、どちらが先だったかもう覚えていないが、
乏しいお小遣いをはたいて、“悲愴”の楽譜とレコードを買っていた。

当時はLPレコードの時代。レコード屋に行って“悲愴”が入ったレコードの
何枚かを視聴させてもらって買ったのが、リヒテルの盤だった。
まだピアニストの名をほとんど知らなかった頃、
演奏家へのこだわりなんて無く、ただ色んな曲をもっと知りたい、聴きたい
と思っていた時代である。

リヒテルの盤を選んだのは、単に他のレコードより若干安価かったからと、
少し視聴して、私が欲しい迫力も十分と思ったからである。
それにジャケットのピアニストの顔つきがとても気に入ったのだった。
何かこの世の不条理や虚無を全て知りながら、嘆くわけでもなく
諦念ではなく強い意志でもってそれらを静観しているような・・・・。

A面が“悲愴”、B面には同じベートーヴェンの“熱情”のライヴ演奏が入っていた。
幾度も盤に針を落として擦り切れるくらい聴いた。





     


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金沢市在住の美術家
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