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Posted by - 2024.04.25,Thu
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Posted by Ru Na - 2015.03.31,Tue
すっきりと晴れ上がった28日、県内にある大きな潟で、
まだ近くまで行ったことのなかった柴山潟へ。
雪を抱いた白山の峰がくっきりと青空に映える。

  

湖面にはまだ冬の水鳥。ヒドリガモが多い。

 
方々から、ぴゅう、と可愛らしい鳴き声が響き渡る。
 

湖畔の「中谷宇吉郎 雪の科学館」へ。

  

木造の六角形が連なる建物は、磯崎新の設計。風景にうまく融け込みながら、
六角形という自然科学で重要な形が、さり気なく科学の世界に誘う。

  

館内には中谷宇吉郎の研究テーマであった雪の結晶のパネルや、
いろんな資料が展示されて、中谷博士の人柄や研究の道筋を辿る事ができる。

  

記念品など思い出の数々。右の掛け軸は絵を描くことも愛した博士の手による、
有名な「雪は天から送られた手紙である。」がしたためられたもの。

  

窓が切り抜く風景は、潟に通じる小川の眺め。

  

結晶のサンプルを収めていたという木棚の横に、実験コーナーが設えてあって、
スタッフが冷凍庫の中にダイヤモンドダストを発生させると、
それが上のモニターに映しだされる。

  

ダイヤモンドダストの中にシャボン玉用溶液に浸けた枠を入れると、
皮膜にたちまち雪の結晶が生成していった。
その皮膜を指で突いても、その部分に穴が開くだけ。完全に凍っている。



約25分間の中谷宇吉郎の世界のビデオもよく出来ていて、
湿った雪の北陸から乾燥した厳寒の北海道へ行き、雪の結晶の美しさを発見、
アラスカからついにはグリーンランドの氷原の地下に研究所を作った流れが
よく分かった。
2階の中庭は、グリーンランドの小石を敷き詰めてある。
そこに霧が噴出しているこのコーナーは、博士の次女の手によるものらしい。

  

昨秋まで北欧にいたつれあいは、グリーンランドまで
足を伸ばせなかった事をしきりに残念がっていた。

中谷宇吉郎は気象庁に勤めていた故伯父の師匠である。
この記念館を造る時、伯母がゆかりの資料を寄贈したので、
何となく親近感は持っていたが、あまりよく知らなかった。
多くの著作から抜き出した文章がちりばめられたパネル展示があり、
それを読んでいくうちに、博士は美に取り付かれた人だと
思われてきた。
この美しい湖畔で、自然の造形の不思議と美しさに対して素直に驚嘆する心を
育み、その感性を生涯自分の中心にストレートに据えていた人ではなかったか。

自分の郷里の湖にはバンという水鳥がいて、どことなくこの世のものでない
ような鳥である。という内容の一文があって、感じ入った。
赤い嘴に黄色い脚を持ち、ひょこひょこ泳ぐ小さな黒いバンは、本当に
何か不思議な感じがする鳥である。
一見黒い全身も、光が当たると濃茶と灰青のツートンカラー。
その境界の白がギザギザした線のような印象を与える。
この様な身体の色彩のみならず、自分より大きい水鳥の影から
不意に泳ぎ出し、つつーと河岸の草に入り込む様子は、確かに
他の鳥と別の時間を生きているような感じがする。

現在バンは少なくなって、出会う度、何か特別なものを見たという
気分になるが、その感覚は数の多い少ないとは別ものである。
今多く見られるのはオオバン。以前はこのオオバンの方が少なくて、
バンとオオバンの立場が入れ代わったという具合である。
博士の時代にはこの潟に多くのバンがいたのだろう。

そんな思いを廻らせながら外に出ると、オオバンが1羽、
わが道を行くといった様子でひょこひょこ泳いで行った。

  













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金沢市在住の美術家
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