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Posted by - 2024.05.05,Sun
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Posted by Ru Na - 2012.11.24,Sat
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  澄んだ青空の一日。
  夕方、クリスチャン・ツィメルマンの
  コンサートを聴きに
  県立音楽堂に出かけた。

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ツィメルマンはポーランド生まれ。
1975年のショパンコンクールの
優勝者で、現在活躍する、世界の
最も優れたピアニストの一人である。


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ショパンコンクールで一位を獲得した頃は、日本でジベルマンと表記されていた。
その後、研鑽を積むため、あまり表に出ず、再びその活動が聞かれるようになった頃は、
ツィマーマンと呼ばれるようになっていた。
そして今回のコンサートでは、ツィメルマンである。混乱するので統一して欲しい。

ドビュッシー生誕150年記念でドビュッシー中心のコンサートの触れ込みで、
最終的なプログラムが決定したのは、かなり最近らしい。
金沢では、 ドビュッシー 版画より
              1.パゴダ 2.グラナダの夕べ 3.雨の庭
       
        ドビュッシー 前奏曲集第1巻より
              2.帆 12.吟遊詩人 6.雪の上の足跡 8.亜麻色の髪の乙女 
              10.沈める寺 7.西風の見たもの
       
        シマノフスキ 3つの前奏曲(「9つの前奏曲 作品1」より)

        ブラームス  ピアノ・ソナタ第2番 嬰ヘ短調 作品2

のプログラムだった。
開演は5時。そのために4時過ぎには家を出なければならず、
午後の用事を大急ぎで片付けて、せわしない思いで出かけたが、
演奏会は素晴らしいの一言に尽きた。

お気に入りのバルコン席で、手の動きを真上から見ることができた。
横長の楽譜を広げて、大きな太い指の手が白黒の鍵盤上を軽やかに行き来する。
大音量の強音から弱音までの音の幅が非常に広いのに驚いた。
ペダルをとてもよく使う。
ペダリングで響く音の余韻が消えるのを聴いてから次の音が来るので、
「間」のような空間が生まれ、ドビュッシーのテンポは少し遅めだと思った。
音は真直ぐ上に登ってくるので、ピアノの弦の振動音に微かな共振や雑音が混じるのまで
聞こえる。これはCDでは体感できない、まさしくヴィルテュオーゾの生の音。
ペダルによって音の輪郭の外側に茫洋とした広がりが出来るのだが、
芯の一音一音ははっきりしていて、特に左手の旋律が、全く独立した対位法のようにも
思えるほどのメリハリを作り出していた。
その色彩豊かな音色に、印象派絵画に対して印象派音楽と呼ばれるドビュッシーの、
印象派絵画に見られる手法との共鳴や共通点を、改めて実感させられた。

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第2部、シマノフスキは初めて聴く曲。
繊細さと情緒が熱を帯びてゆく響きに、ホロヴィッツのモスクワ・ライヴに収録されている
スクリャービンの練習曲を連想してしまった。

次のブラームスのピアノソナタ第2番も初めて聴いた。
ブラームスのごく若い頃の作で、あまり演奏されない曲のようだが、
これがこの公演のメインで、その迫力に会場は完全に呑み込まれていた。
ひとつの主題のフレーズが、左手の低音と右手の高音で繰り返されるのは、
まるで男女の会話のよう。4楽章からなるゴツゴツとして、スケールが大きい曲。
クララ・シューマンへの想いが逡巡しているような曲展開だなあ、などと
聴きながら思ったのだった。
実際はブラームスがこの曲を作っている時、クララと知り合っていたかどうかは
知らないのだが。

  ( この文を書いてからちょっと調べてみたら、作曲は1852年。
   翌年にはすでにロベルト・シューマンと親交があり、1854年改訂をした後、
   クララに献呈したらしい。
   当時の作曲家はバッハ以来の伝統で、楽曲に言葉を織り込む遊びを
   よくしていたらしい。シューマンの曲にはクララという言葉が随所に隠されている、と
   解析しているTV番組を見たことがある。
   誰か専門家がこのブラームスのピアノソナタをアナリゼしてくれないかしら。)

夢見心地で会場を出ると、すっかり夜。

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 音楽堂横の金沢駅の
 夜の光景。





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駅前のライトアップされた噴水。
















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