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Posted by - 2024.05.03,Fri
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Posted by Ru Na - 2012.08.02,Thu
連日ものすごく暑い。とにかく暑い。夜も冷えず熱帯夜続き。
あまりにも暑いので、どうせ何もはかどらないだろうと、
県立美術館へ田中一村展を見に行った。
(あまりにも暑いので、文字サイズを大きくしてみました。)

resize6227.jpg 田中一村は明治41年に生まれ、
 1977年に69才で没しているが、
 日本画の題材としては珍しい熱帯植物の、
 アンリ・ルソーを彷彿とさせる
 大胆な構図で評価が高まったのは、
 近年のこと。
 一村についてはあまり知らなかったが、
 先にこの展覧会を見に行った人に
 画集を見せてもらって、これは見逃せない
 と思ったのだった。






県立美術館の裏手の急な階段を登る。
横に滝がしつらえてあるので、この猛暑でも空気はひんやりしていた。

resize6212.jpgresize6211.jpg











美術館の裏辺りも草木が涼しげで、静かで落ち着いた空間。

resize6210.jpg
ここはいつも、
木々や色んな植物が
季節ごとの表情を見せてくれる。
この暑さ。
さすがに今日は
鳥の姿もない。





一村の年譜を見ると、関東で生まれ育ち、早くから画才を現し
東京美術学校に入学するが、家庭の事情で退学。
父と弟を亡くし、残された一家で千葉に移り住んだのが30才。
農業で自給しながら鳥を沢山飼い、板金工などして働きながら
画業を続ける。



7c7b739a.jpeg 30代から50代にかけ、
 日展や院展などに
 出品するが、落選続き。
 
 その間に、能登の
 「やわらぎの郷」の
 聖徳太子殿の
 天井画を描いている。
 

 今回の展覧会は、
 その天井画の
 修復が終わった
 記念展らしい。
 



天井画の実物と修復作業の様子の写真パネルが展示してあった。
49種の薬草が生き生きと描かれ、じっと見ていると、
実際の草花をその色や形に感嘆しながら眺めている時と同じ心地がした。

一村は50才の時奄美大島を訪れ、その後移り住む。
数年染色工として働いて生活の糧を稼ぎ、数年画業に専念。
時々千葉にも帰る、といった生活を繰り返していたらしい。

resize6218.jpg

初期の水墨山水画を見ても、
型を踏襲しながら形式に収まりきれぬ
生の自然への賛歌が感じられた。
山野の植物を描いたものは、
日本画らしく画面に端正にまとめよう
というより、草花の本当の勢いを
そのまま表現しようとしているような、
大いに共感できる視点を感じた。

そう、野では、植物たちは実際に
こんな風に絡み合って生えているよ。






resize6219.jpg


   初期の作品から時々、
   絵の中に小さく、さり気なく
   鳥が描かれていたりしたが、
   それも鳥を、その行動や
   気持ちまでも
   よく観察していた人だと
   推測できるような
   生きた鳥の姿である。

   次第に構図が大胆で簡潔に
   なるにつれ、
   鳥のモチーフも
   重要な位置を占めていった
   様子がうかがえる。





resize6225.jpg

 

resize6220.jpg
  上、左、右下の順で、
  アカショウビン、オナガ、カケス。

resize6215.jpg

















奄美大島に移ってからの植物の描写は、大胆な構図の中に
装飾的に組み入れられていくが、観念的な装飾紋にはならず、
ちょうどアールヌーボーを生み出したナンシー派の工芸家たちが、
植物の写生を突き詰めて繰り返し、自然の造化が持つ本来の美を
装飾にまで昇華して、装飾に有機的な生命の息吹を吹き込んだように、
一村の植物もまた、生きた装飾である。

その画面の中に住む鳥の姿も生き生きとしている。

resize6224.jpg

私のお気に入りのトラツグミの絵。

resize6221.jpg
 



  未完で残された絵には
  描きかけのカケスたち。
  今にも動き出しそうである。




















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