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見たこと、聞いたこと、感じたこと、考えたこと。
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Posted by Ru Na - 2012.06.18,Mon
昨日は月に一度の中流域鳥調査に参加した。
陽が照って暑くなるのが心配だったが、前日からの雨が朝まで残り、曇空で割と涼しい。
歩いている間、時折小雨が降って、邪魔かなと思っていた傘が役立った。

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集合場所に集まった我々を
迎えてくれたのはミサゴ。
つがいで飛び回り、
ホバリングまで見せてくれた。





堰堤にはゴイサギが
1羽だけ。
先日は16羽集まって
いたのに。
何となく淋しそう。

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イカルチドリが工事中の土の上を、ちょこちょこと走っていった。

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木立のある所まで来ると、やっとカワラヒワやムクドリ、ヒヨドリの声が聞こえた。
コムクドリも飛び回り、近くの枝にとまってしばらく羽繕い。

可愛い目をしたコムクドリの♀。

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ハシボソガラスの巣の上には、大きくなったヒナたち。

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緑地公園のこども広場の芝の上を、ヒバリが走り回っていた。
芝の上のヒバリなんて珍しい光景である。

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横から吹き付ける小雨の中、コムクドリの巣立ちヒナが何羽も,対岸の枯れ木にとまって
時々隣の枝に飛び移ったり羽ばたいたり、可愛らしい様子を披露してくれた。

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鮎漁の解禁で、イワツバメの営巣地付近は釣り人と釣り人の車で埋まっていたが、
イワツバメたちはてんで平気で飛び回っている。
まだヒナに餌を運んでいる親鳥も結構いた。

橋脚の出っ張りに並んでいるツバメたち。
どうやらここは、イワツバメの休憩所になっているようだった。

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Posted by Ru Na - 2012.06.16,Sat
行く度に色んな種類のサギたちが違った表情を見せてくれるのが嬉しくて、
同じ方角に用事があるとつい、サギのコロニーに寄ってしまう。

6月8日もいそいそと出かけ、自転車を停めてから、草叢の中の小径を
草をかき分け定位置へ。
途中ヘビが道に横たわっているので、「ちょっと通してね。しっぽを踏んじゃうよ。」と、
小枝で近くの地面を叩くと、ヘビは面倒臭そうにノロノロと石の間に入っていった。

コロニーの対岸の地面にしゃがみこんで、聞こえるかどうか分からないけれど、
いつものように、「みんな元気だったー?」と挨拶する。
相変わらずいつもの場所を行ったり来たり、羽ばたくアマサギもいる。
ゴイサギのヒナたちは少し大きくなったかなと見ると、
近くの枝に何となくお腹が茶色っぽいゴイサギがとまっていた。
巣立ちヒナかしら。それにしては頭も背も大人の色をしている。

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三脚に乗せたビデオカメラを回しっぱなしで、カメラのズームで何枚か撮影した。
撮った写真を見ると・・・・・・何と、胸にひどいケガが!

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襲ってくるトビかカラスから
ヒナを守ろうとして傷ついたのだろうか。
とてもショックで、気が動転した。



帰ってから撮影した映像を調べてみる。
左下の、ヒナがいる巣を見張っているようにも見える。
そのヒナたちの親鳥だろうか。
巣には親鳥はいなかったので、ケガしたお父さん鳥の代わりにお母さん鳥が
餌を探しに出かけていたのかもしれないと思った。

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可哀想に、こんな酷いケガ。
風で木が揺れても、枝をしっかり掴んでいて、毅然とした様子。
血の付いた胸羽を嘴でしごいて羽繕いする姿には、弱々しさは感じられなかった。

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見た目より傷は深くないのかもしれない。
ケガが治りかけたゴイサギに会えるかもしれないと、その後何度か見に行ったが、
巣の近くにいるゴイサギは、真っ白な胸の子ばかり。
傷ついたゴイサギが守っていたかもしれない巣には、
いつ見ても親鳥の姿はなかったが、
子供たちは随分大きくなって、巣立ち真近のようだった。

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野鳥の会の数人に写真を見せると、
近くに抱卵中のサギが沢山いるこの状況では、捕獲、保護はほとんど不可能。
人為的なケガかもしれない。養魚所の猟銃のせいかもしれない。
この酷いケガでは、すぐトビやカラスに襲われてしまうかもしれない。など
みな絶望的な考え。
それでも私は、きっとケガが良くなって、またどこかを飛び回っている可能性に
一縷の望みをつないでいる。




Posted by Ru Na - 2012.06.15,Fri
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サギのコロニーで営巣しているゴイサギたち。
巣の上に座り込んでじっとしているのは、抱卵中だから?美しい目をしている。

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こちらは巣を整えているのだろうか。

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二度目に見に行った時は、ふわふわした赤ちゃんの小さな頭が見えた。

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その内お父さん鳥が餌を運んできた様子。巣に舞い降りて仲睦まじそうに何か話しながら
餌を口渡しし、傍の枝に移って羽繕いを始めた。
巣の上の母鳥は、愛おしそうに子供に餌をあげたり、せっせと世話をしている。






Posted by Ru Na - 2012.06.12,Tue
先月末から、時々サギが集団で営巣しているコロニーを見に行っている。

まだ葉が茂らない季節、木々の枝の間に巣らしきものがポツポツ見えていたが、
新緑の色が濃くなった頃、今年はアマサギが沢山いると聞いて、久しぶりに行ってみたら、
木の生い茂る緑地帯に数え切れないくらい多くのサギが集まって騒いでいた。
チュウサギ、コサギの白に、アマサギの明るいオレンジ色、ゴイサギの青灰色が
あちらこちらに混じっている。

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大勢のサギたちがとまっている木の繁った葉影に、巣ごもりしている姿も垣間見える。

巣の見張りをしているのか、ただ何となくそこのいるのか、各々の事情があるのだろう。

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アマサギには、頭がツルンとしてオレンジ色が薄い子と、タテガミのようにぼさぼさして
色が濃い子がいる。この違いは年齢のせいだろうか。

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巣ごもりのコサギの側に付き添っているのはお父さん鳥らしい。

 「ねぇおまえ、座り心地はどうだい?」

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 「あら、あなた、とっても快適よ。卵たちも喜んでいるみたい。」

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Posted by Ru Na - 2012.06.10,Sun
今年の「かなざわるねっせんす展」が、産業展示館 3号館で、8日始まった。

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「金沢ペーパーショウ」内の
特設ブース。


今年は募集から〆切の期間が
短かったこともあって、
去年より数は少なかったが、
県内の有名グラフィックデザイナー

による作品がずらりと並び、
見ごたえはある。





そんな中に混ぜてもらった私の作品。

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2点は家にある古い扇面屏風をモチーフにしたもの。
あと1点は、自分の立体作品の一部分をアレンジした。

ペーパーショウは、色んな材質の紙によるパッケージデザインや書籍などの展示、
書道展、紙による造形、材料となる木材など、様々な展示ブースがあり、
紙漉きや万華鏡制作といった体験コーナーも設けられている。

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濡れても破れない
プラスチック製の紙や、
水を含んだ特殊ペンで
なぞると色が浮かび上がる
紙などが、興味深かった。

色画用紙をぐるぐる巻にした
時計のシリーズも
なかなか洒落ていた。











Posted by Ru Na - 2012.06.06,Wed
吉田秀和氏の最後の著作となった四部作、「永遠の故郷」は、それぞれの巻に
夜、薄明、真昼、夕映というタイトルが付いていて、
それまで氏があまり書いてこなかった歌曲について、氏の若い頃の思い出と共に
語られる。

最後の巻「夕映」は、ベートーヴェンに始まり、シューマン、ラヴェルにとんで、
シューベルトで締めくくられる。
その最終章は、「冬の旅」の「菩提樹」。

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  表紙にはパウル・クレーの「忘れっぽい天使」の絵が
  使われている。
  
  吉田秀和著「ソロモンの歌 一本の木」の中には、
  この絵の筆順を考察した章がある。
  時間軸に沿って展開する音楽同様、
  絵画も、その生成の過程を追って分析される。








吉田秀和氏に4日先立つ5月18日、名バリトン歌手フィッシャー・ディースカウ氏が亡くなった。
ディースカウはオペラでも活躍したが、何といってもドイツ歌曲の歌い手として、
ヘルマン・プライ、ペーター・シュライヤーと並ぶ3大歌曲歌手。
20世紀最高のバリトン歌手と言われてきた。
ディースカウは早々にコンサートから引退したので、この3人の内で唯一、
私が生でその声を聴く機会がもてなかった歌手である。

ヘルマン・プライについては、私は早くから知っていて、その暖かな歌声に魅せられていた。
オーケストラ・アンサンブル金沢を立ち上げた芸術監督、岩城宏之氏の御友人という縁で、
プライ氏は金沢で2回コンサートを開いた。まだ県立音楽堂が出来ていない頃である。
それはもう、喜び勇んで聴きに行って、普段CDで聴くよりずっと微妙で陰影に富んだ歌声に
酔いしれた。
2度目のコンサートが、オーケストラをバックにした「冬の旅」だった。
終曲、「辻音楽師」は、空気に溶けていくように静かに終わり、
ほどなくしてプライ氏は亡くなった。

ペーター・シュライヤーの歌い振りという、何とも贅沢なJ.S.バッハの「マタイ受難曲」が
金沢で演奏されたのは、数年前。
同時に「冬の旅」のリサイタルも行われ、こちらも聴きに行った。
日本の端っこの小都市の、空席が目立つ音楽堂で、
こんな世界的な歌手が、果たしてどの位この演奏会に力を入れてくれるかしらと、
始まるまで何となくそわそわしていたが、何という入魂の歌唱だったのだろう。
独語は僅かな単語しか分からない私でも、この暗く絶望的な「冬の旅」の詩句
ひとつひとつが、心を抉ってくるようだった。
魂をわし掴みにされ、揺さぶられるとは、こういうこと。
どうやって家に帰り着いたか覚えていないくらい、圧倒的な強烈な体験だった。

翌年、歌手を引退したシュライヤー氏は、また金沢で「ヨハネ受難曲」を指揮した。


それを読まないで人生を過ごしてしまうには、あまりにも惜しい書物が確かにある。
トーマス・マンの「魔の山」も、ロマン・ロランの「ジャン・クリストフ」や、ドストエフスキーの
「カラマーゾフの兄弟」と並んで、そんな文学の一つだと私には思われる。

長年買い置いたままになっていた「魔の山」に手を付けたのは、
交通事故で全身打撲し、「水平生活」を余儀なくされた時期のことだった。
ハンス・カストルプ青年が大学入学前の休暇に、スイス山中の結核療養所に
従兄弟を訪ね、肺に問題が見つかった彼も、はからずもそのまましばらく
滞在することになってしまう。
そして、地上から離れたダボスの、澄んだ空気の中で出会った様々な人から、
いろんな事を学んでいく。
(登場するロシア貴族のサーシャ夫人は、詩人ポール・エリュアール夫人で
後にサルバドール・ダリの愛妻になったガラがモデルらしい。)

印象的なのは、院長が患者の集まるサロンに置いた蓄音機に、
カストルプ青年はのめり込み、次々と院長自慢のレコードコレクションを聴いてゆく場面。
中流家庭に育ったごく平凡な青年と紹介されるハンス君は、なかなかどうして
「歌劇アイーダ」の、終幕で閉じ込められた恋人たちの、絶望的な嘆きの歌の
心の襞に涙するくらい、イタリア語のニュアンスが解るのである。

「魔の山」を読んで、そこに出てくる音楽を聴き直したくなる人は多いのでは。
私も早速「アイーダ」のCDを買いに行った。
明るい子供の歌として、長調部分しか知らなかった「菩提樹」を、
シューベルトの歌曲集「冬の旅」の中で、暗い短調部分を含むオリジナルを聴いた時の
青年の驚き。
私もそういえば「冬の旅」を全曲通して聴いたことがなかったと気づき、
そこで百貨店内のCD売り場で手に入れたのが、ディースカウによる「冬の旅」だった。

cd808960.jpeg  色んな演奏家による「冬の旅」のCDの中で、
  これを選んだのは、
  A.ブレンデルが伴奏を弾いていたからだったが
  その頃あまり知らなかったディースカウの
  柔らかで深みのある声に、すっかり魅了され、
  何度も何度も繰り返し聴いた。
  歌詞の対訳を読みながら、
  何と暗い歌かしら、と思いつつ。






カストルプ青年の静かな「水平生活」は、第一次世界大戦の暗雲に呑まれていく。
銃弾飛び交う戦場で思考が止まって、ただ泥や硝煙中を行軍する青年は、
無意識に歌を口ずさんでいる。あの「菩提樹」を。

吉田秀和氏の「永遠の故郷」の終章も、
このカストルプ青年の「菩提樹」で幕が閉じられたのである。


     今の私はあすこからずっと離れたところにいる。
     でもあのざわめきはいつだって、耳から離れない。
     「お前の心の安らぎはあすこにあるのだよ。」


     「お前の心の安らぎはあすこにあるのだよ。」





Posted by Ru Na - 2012.05.31,Thu
太陽が月に隠れ再び姿を現した翌日、心を照らすもうひとつの光が地上から永遠に失われた。

吉田秀和氏 音楽評論家 98歳
急性心不全により鎌倉の自宅で5月22日午後9時死去。

その光は陽の光というより、あるいは、静かで清らかな光線をそっと内面の奥深くまで届ける
月の光と形容した方がよいのかもしれない。

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訃報を知ったのは、27日のラジオの昼のニュースだった。
前日の土曜日、夜9時からのNHKFMラジオの氏の番組「名曲のたのしみ」で、
いつも月末に放送される「私の試聴室」を聴いたばかりだった。
シューベルトの交響曲第1番と第2番。
  「シューベルトの若い頃の交響曲はあまり演奏される機会がないけれど、
   この間ピリオド楽器による演奏を聴いたら、とってもおもしろかったので、
   みなさんに紹介します。」
と、いつもの柔らかな語り口で曲を説明されていていた。

氏がたいそう高齢なのは知っていたが、近頃100歳を超えても現役で活躍している方も多く、
ラジオで氏の生き生きした感性に触れる度に、
毎週楽しみにしていたこの時間が、この先ずっと続くように思っていたのだった。

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私が吉田秀和氏のラジオ番組「名曲のたのしみ」で、作曲家の全曲連続放送を
ほぼ欠かさずに聴き始めたのは、確か2000年前後、シューマンからである。

朝日新聞に月一回掲載された「音楽展望」を、意識して切り抜きを始めたのは、
地下鉄サリン事件があった95年。
その年亡くなったピアニスト、ミケランジェリとサリン事件を、人間の光と闇の対比として
捉えた回からだった。
私にとって朝日新聞は、故加藤周一氏の「夕陽妄言」と吉田氏の「音楽展望」を読むための
新聞だった。(それともう一つ、楽しみにしていた大江健三郎氏の「定義集」も
この春で連載が終わってしまった。)

「音楽展望」は、7年前氏が、日本文学、特に永井荷風研究者の夫人バルバラさんを
亡くしてから、季節毎、年に四回の連載になっていたが、
「名曲のたのしみ」は毎週休みなく、ドボルザーク、メンデルスゾーン、プロコフィエフ、
ショスタコーヴィチ、ベルリオーズ、R.シュトラウス、チャイコフスキー、プーランク、
ハイドンと続き、ラフマニノフの連続放送が昨年11月に始まった。

プロコフィエフからは、ほぼ毎回録音するようになり、最初はテープ、それがMDに代わり、
その間少しづつ買い揃えていった氏の著作も、本棚に増えていった。

「私の試聴室」で、アンジェラ・ヒューイットやヒラリー・ハーンという素晴らしい演奏家を知り、
著作を通じて知った曲や演奏家のCDを探しに行ったりもした。


今、吉田秀和氏の本を、どれでも一冊手に取って、どれか一文を読むと、
心洗われる美しい文章に、音楽や世界に対する愛の暖かさが、再び蘇ってくる。
吉田氏の文章を読むと、音楽が聞こえてくるようだ、と何人もの人が書いているが、
同時に私には、吉田秀和さんの声も聞こえるような気がする。
そして、流れてくるのは、R.シュトラウスの「四つの最後の歌」の「夕映えに」。


   おヽ、広々と静かな安らぎ、
   夕映えの中で かくも深く
   私たち 何とさすらいに疲れたことか
   もしかしたら、これは、死?



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Posted by Ru Na - 2012.05.21,Mon
今日は日本の広い範囲で金環日蝕が見られた日だった。
これほど広範囲で見られるのは、932年ぶりという。
しかし北陸はその範囲からはずれ、部分日蝕となった。

朝7時過ぎ、辺りは暗いのに植物に落ちる光が、鈍い金粉をまぶしたような
異様な色になっている。
残念ながら、その色彩を写真でそのまま再現するのは、なかなか難しい。

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日蝕グラスを持っていないので、直接太陽を見ることはできない。
試しにフィルターなしのカメラを日に向けると、三日月形の反射光が写った。

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庭の作場の柱に映る槇の葉の影。無数の三日月模様ができた。

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日蝕は地球と太陽の間に月が入り込むことで起こる。
月が地球により近ければ皆既日蝕になり、月が少し遠いため太陽の輪郭がはみ出せば
金環日蝕になる。

日本でこれほどの広範囲で金環日食が見られた932年前は、ちょうど源平合戦の
水島の戦いの最中だったという。平家が源氏に勝った唯一の戦。
天岩戸伝説の時は、多分皆既日蝕だったのでは。

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日蝕というと、すぐ連想するのが
マーク・トウェインの、
「アーサー王宮廷のヤンキー」。
コネチカット州の兵器技師が
タイムスリップして、
中世イギリスのアーサー王の
時代に行ってしまうという、
不思議で痛快な物語。

本家本元の「中世騎士物語」
と並んで、
私の子供の頃の愛読書だった。




19世紀の科学技術を中世イギリスに持ち込んで、アーサー王の信頼を得、
ボス卿と呼ばれるようになったヤンキーが、魔法使いマーリンと対決する時
「太陽を消してご覧に入れる。」と、日食を利用するのである。
歴史的な日食の年月日、場所を暗記していたなんて、驚くような話だが、
自転車生産工場を作って、甲冑の騎士の銀輪部隊を結成するほどのボス卿。
こういう事も朝飯前なのかもしれない。

resize5456.jpg 太陽が隠れて地上が暗くなると、
 鳥たちがやたら騒いでいた。
 ハシブトガラスが
 近くのアンテナの上で、
 落ち着かなげに
 鳴いたり飛び立ったり。
 明るさが戻ったとたんに、
 ヒヨドリはいつもの囀りを
 始めた。






鳥の視覚はとても優れていて、人間には見えない色や奥行が判るらしいが、
世界が異様な薄明かりに包まれていた時、彼らはどんな色を見ていたのだろう。

日食や月食の“食”は、英語でエクリプスと言う。
鴨類の♂が非繁殖期に一時的に♀のような羽色になる状態も、エクリプスと呼ぶ。

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金魚の視覚も、人間には見えない
色彩をとらえているらしいが、
金魚たちには、別段変わった
素振りはなかったように
思える。

太陽は何事もなかったように
照り始め、
午後は気温が上昇。
その陽の下で
池の水換えをした。


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Posted by Ru Na - 2012.05.21,Mon
鳥調査の大詰め、イワツバメの営巣地へ。
イワツバメがびゅんびゅん飛び回っている。巣の数も今年は増えたようだ。

暑さでヘばり気味の私は、もうひとつ先の橋まで行こうという他のメンバーと別れ、
一人ここに残った。
川岸に降りると、小さな水溜まりにツバメたちが舞い降りては地面をつつき、
また飛び去る、を繰り返していた。
採餌しているのかしらと、彼らの横を通って橋の下の日陰へ。

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見上げる橋脚の上にはイワツバメの巣が無数にある。
ツバメたちは巣と地面、川面の間をせわしなく往復している。
ヒナはもう生まれているかしら。

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双眼鏡やカメラのズームで見ると、小さな頭がのぞいているような巣もいくつかあった。

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地面にしゃがみこんで、水溜まりに集まるイワツバメたちを眺める。

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最初は何となくこちらを気にしているようだった彼らも、
くたくたと座り込んでいる私を無視するようになり、私がソロソロと彼らに近づいても
「それどころじゃない、忙しいの。」 といったふうに彼らの仕事にいそしんでいた。

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嘴にいっぱい土をくわえているところをみると、巣の材料の泥を集めているようだった。

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イワツバメの脚が、このように白い羽毛に覆われていることに、初めて気が付いた。

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先に進んだ他のメンバーは、まだ戻ってこない。
小一時間ほどそうしていたが、もう正午を回っている。
後の予定にも差し支えるので、先に帰ることにした。

別の橋脚の上で、随分な大声で囀っていたハクセキレイ。
「どうしたの?」と声をかけると、近くに降りてきて、しばらく私の目の前を行ったり来たり。
「もう行くよ。」と私が歩き出すと、名残惜しそうについて来るような素振りをみせた。

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撮った写真を後で見ると、片足のつま先が無く、怪我したのが治ったといった形をしている。
可哀想に、どんな事故に遭ったのだろう。歩くのに不自由そうではなかったが。

しばらく行くと、草むらに隠れるように歩いていたドバト。毛並みが白くてとても綺麗な子。

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両足に沢山の足輪。標識鳥か、あるいはレース鳩かもしれない。

行きに噂していた、工事中でも縄張りを離れず、いつも土の山の上で頑張っているというキジが
姿を現わした。


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Posted by Ru Na - 2012.05.21,Mon
5月20日は中流域鳥調査の日。
朝9時前、日差しは強く気温はすでに相当高い。
集合場所の児童公園の手前、橋のたもとのアンテナの上に、キジバトがのんびり座っていた。

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ここから雪見橋まで、河川工事で中洲は削られ、川辺の木々は切られ、
剥き出しの土に工事用の重機が方々置かれている光景が続くが、
五月の植物の勢いが優って、まだ切られていないニセアカシアの白い花が
こぼれるようである。

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 風に揺れて
 良い香りが
 辺り一面に
 たち込めていた。












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堰堤の高さは
半分になり、
落差もほとんど
なくなったが、
ゴイサギが
今年もこの場所に
集まっていた。





まだ若そうなゴイサギ。



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中洲の名残の小石の上を、イカルチドリが歩き回っている。

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やはり砂利の上で羽づくろいするセグロセキレイの幼鳥。

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ヒヨドリのつがいが
ニセアカシアの
花羣でお食事。












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ムクドリも花影で
その香りに
うっとりしている
様子。












緑地公園の緑は濃く、ヒメジオンやキンポウゲを散りばめている。

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妙なる五月、とハイネの詩でも口ずさみたいところだが、あまりにも暑い。

プロムナーを携えて途中から合流したHさんは、鳥を見つける名人。
雪見橋から上流の草地で、モズの親子を発見。
親鳥2羽、幼鳥2羽の理想的な家族だね、と言って、
巣立ったばかりのまだあどけないヒナに、親鳥が餌付けをしている情景を、
プロムナーでのぞかせてくれた。

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モズは留鳥だった! 
私は、冬にばかり姿を見るモズを、すっかり冬鳥だと思い込んでいたのだった。

いつもあまり鳥がいないように見える場所でも、Hさんは対岸の水辺に張り出した枝の上で
羽づくろいしているカワセミを発見。キセキレイも近くにいた。

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Posted by Ru Na - 2012.05.16,Wed
愛鳥週間の13日、石川県内では3ヶ所同時に探鳥会が行われ、
私は金沢城探鳥会に参加した。

尾山神社に集合したのは12人。普正寺の方へ行っている人が多いようだ。
2本ある見事な菊桜は散りかけて、花の絨毯ができていた。
地元の新聞社が取材に来ていた。

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神社の庭園の池に架かる石橋に、アオサギが1羽姿を現した。
おずおずと、石橋を渡ろうとしている。

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「この時期のアオサギは繁殖期で嘴が赤くなるのですが、
この子はどうもまだ若鳥のようです。」と、説明するリーダー。

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カワセミの声を聞いた人がいて、探したが見つからなかった。

resize5244.jpgムクドリが芝の上を歩くのを横目に、
金沢城址へ。
新丸広場で市民リレーマラソン大会を
やっているので、人が大勢行き来し、
時々拡声器の音が大きく響く。
城址公園の整備のため、
木も随分切られていた。

この状態では鳥があまり出て来ないのでは
と、心配しながら本丸跡の森へ向かうと、
こちらでは鳥たちが盛んに囀っていた。



滴るような緑の葉陰で、美しい歌を聞かせてくれるのはキビタキ。
葉が茂っているので、見つけるのは至難である。
ようやく2、3人が、オオルリとキビタキの姿を確認した。

いつも大抵シジュウカラが出てきてくれる場所でも、声が聞こえただけ。
木々の間を群で忙しげに飛び回っているエナガと、コゲラを確認。

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嘴に何かくわえたコゲラ。

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元金大の薬草園だった森は、多様な植物が生えている。
様々な形の若葉が、五月の爽やかな光と風に揺れていた。

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少し早めに会が解散してから、メンバーの女性と二人で森に引き返した。
キビタキの美声に聞き入っていたら、キジバトが木から降りて、
小さな泉に水を飲みに来た。

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相棒がバス時間を気にして帰った後、また一人で森の小道をぶらぶら歩く。
光に透いたもみじの新緑が美しい。

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キビタキの声の真下で、何とか姿を見たいとしばらく佇む。
やっと、綺麗な黄色の胸をした小鳥が視野に入った、とその直後、
「ツー、ツー、ツー」と鳴きながら、近くの木に飛んで来た2羽。
せわしなく枝から枝へと動き回っていたのは、ヤマガラだった。

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先日、美術館裏で出会って、ジョウビタキだとばかり思っていたのは、
ヤマガラだったのだと、この時気づく。

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私のすぐ目の前で、木の芽をつついたり枝でブランコしたり、楽しそうにしている。
時々50cmほどの至近距離に来るが、かえって写真などは撮れない。
彼らを怖がらせないように、不動の姿勢で見守るだけ。

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ヤマガラたちはずいぶん長く私の前で遊んでいて、彼らがつっと飛び去ったら、
すぐエナガのつがいが同じ木にやって来て、同じように枝から枝へ。

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そしてその後、シジュウカラもやって来た。
この木は彼らのお気に入りの遊び場なのだろうか。
無心に遊ぶ小鳥たちの可愛らしい様子を、こんな真近で長い時間眺められた
なんとも贅沢なショー・タイムだった。

さあ帰ろうと振り向くと、足元でハシブトガラスがこちらを見上げていて、
ばつが悪そうに、あわてて地面を走って逃げていった。
どうもバードウォッチングをしていた私を、人間ウォッチングしていたらしい。

三十間長屋から石垣の道を、植物を見ながら降りて帰路につく。

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あちらこちらに生えているオドリコソウ。普通は白い花だが、
ここでは何故か、薄ピンクのものもよく見かける。

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 シャガの花。
 清々しい五月の色。












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 そして、この時期の
 金沢城には
 何といっても
 きんぽうげ。
 黄色い宝石を
 緑に散りばめたように
 輝いている。
 しかし、昔に比べ
 ずいぶん数が
 減ったように思える。









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Posted by Ru Na - 2012.05.12,Sat
先日からの6月下旬並みの暑さはどこへ。
私にとってはありがたいことに、空気は春先のような冷たさ。
小雨混じりの中、
「 幻のコレクション 中国陶磁名品展 ─イセコレクションの至宝─ 」
を観るため、県立美術館へと足を運んだ。

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名品揃いのイセコレクションの名は聞いたことはあるが、
古くからの美術コレクションだと思っていたら、会場の説明板によれば、
食品のイセグループが文化基金を創設して今年で30年という、比較的新しいものらしい。

古美術から現代美術に至るまで、幅広い作品の収集を行なっているこのコレクションの中で、
中国陶磁は、まだほとんど公表されておらず、
旧安宅コレクションのものだった品も含まれていて、その質の高さのふれこみに、
これは見逃せないと思っていたのだった。

新石器時代の土器から始まり、清朝まで、各時代の器を中心とした陶磁器の展示。
平日の夕方とはいえ、観ている人は少なく、ゆっくりと見て回ることができ、
ため息がでるほど素晴らしい品々を、心ゆくまで堪能した。

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北魏時代の官人の小像。
横から見ると、
なだらかな背中のラインが
百済観音像のように
美しかった。
仏像女子が見たら、喜びそう。







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 唐三彩の小瓶。
 今まで結構唐三彩は見たが、
 こんな見事な釉の流れは
 見たことがない。
 川端康成全集第1巻の表紙に、
 この瓶の写真が使われたと
 会場の解説にあった。
 旧安宅コレクションのもので、
 川端康成のお気に入り
 だったのだろうと想像する。




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 こちらの「三彩女子」は
 割と大きい。
 見事な造りである。
 やはり副葬品なのだろうか。
 せっかくカタログを買ったのに、
 解説が少なく、特に
 作品ごとの説明がないのは
 残念。







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 北宋の青白磁。
 窪みに溜まった釉の
 うっすらした水色が、
 とても美味しそう。

 私は李朝の青磁白磁が好きだが、
 中国のものはつるんとして、
 この気品にも強く惹かれる。



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明時代の染付けと五彩。いずれも景徳鎮窯。

同じ景徳鎮でも色んなスタイルがあり、時代によっても変わってくるのが、
この展覧会でよく分かった。
清の時代の景徳鎮にはまるで柿右衛門のようなものがあったり、
元祖セーヴル焼きといった風情のものもあった。

常設展示の特別企画でも、「加賀藩主前田家の調度 -唐もの-」をやっていて、
北宋の青磁皿や、景徳鎮の五彩筆箱など、
イセコレクションとよく似た作りのものが見られた。
やはり贅沢が許される向きはみんな、こういったものを側に置きたかったのだなと思う。


私はさほど焼き物全般や、中国陶磁を知っている訳ではないが、
展覧会で並んだこれらが、たいへん上質のものということは判る。
道具、工芸品は使ってこそ生きるものではあるが、
このくらいの水準のものは、個人所有より、誰でも見られる公の財産にすべきと
私は考えるが、もしどれか貰えるなら、どれを選ぶかしら、
古田織部を主人公にしたコミック、「へうげもの」の登場人物ならきっと、
この内の一点を観るためなら、千里の道を馬で駆け、所有するためなら、あるいは
城を明け渡すかもしれないなどと思いながら、美術館を出たのだった。

美術館の裏手の急な階段を降りて帰ろうと、建物の横に回ったら、
「ツー、ツー、ツー」とかすれた声で、小鳥の群が飛んで来た。
頭上の木々の間を飛び回っている。
雨も降っているし、もうかなり薄暗かったが、持参のカメラでズームアップ。
お腹がオレンジ色である。ジョウビタキかしら?
(後でヤマガラと判明。)

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ジョウビタキはこんな時期までいるのかしら。
撮った写真を後で見ると、エナガのようなお腹が白い子も一緒に写っていた。

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Posted by Ru Na - 2012.05.07,Mon
連休の後半の5月5・6日に、羽咋市滝港にある“スペース滝”で、
「滝ポート・ブルース・フェスティバル」が開催された。

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ギタリストの垣田堂さんを中心に、演奏あり、書道パフォーマンスあり、舞踏ありの
盛り沢山なアート・イベント。

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“スペース滝”は、
美大の大先輩である中田さんが
羽咋市滝町に去年開設したアート・スペース。
現代美術の展覧会や、多彩なイベントが
これまでに開催されてきた。






今度の垣田堂さんのコンサートで、私の映像作品を上映したいと、中田さんから連絡を
いただいたのは3月の初め頃。
私は映像を貸し出すと言う形で、上映作品の選択や上映のし方は垣田さんに一任し、
経過を見守った。
最初はコンサートの合間に上映する予定だったが、
このイベントのプログラムを煮詰めていくうちに、映像はパーカッションとコラボすることになったという。

5月5日の昼、金沢駅から富来行きの急行バスに乗って滝町に向かう。

resize5169.jpg 金沢駅周辺では、県立音楽堂をはじめとする
 いろんな会場で、今年もラ・フォルジュルネが
 行われていた。
 今年のテーマはロシア音楽。
 聞きたいプログラムが無かった訳ではないが、
 時間がうまく合わない。
 今年も諦める。
 連休中だから、ラ・フォルに行きやすい人と、
 私のように連休中だから、かえって行きにくい者もいる。



天気は上々。バスの高い座席から見る能登海浜道はなかなか楽しい。日差しも風も強い。
時々シギらしい群が砂浜から舞い上がるのが見えた。

1時間ほどで最寄りの一ノ宮停留所に着いた。
“スペース滝”に行くのはこれが初めてだが、ここから歩いて15分位のはず。

resize5170.jpg気多大社の看板を通り過ぎ、
大きなお寺の横に出た。
このまま行くと内陸の方に
入ってしまうような気がして、
道を曲がって海方向へ。
途中、鳥の囀りが沢山聞こえる
場所にさしかかった。


金鳥の古い看板を見つけた。
横の壁から落ちたのを、
雨樋に挟んであるらしい。
この辺の民家は外壁が
統一されていて、いい雰囲気。


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海の際の広々とした場所に出る。あの建物の向こうが滝港だろう。

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広場と道の向こうの木立の間を群で行き来している鳥。ムクドリか、それともコムクドリ?

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遠目から一見、
廃屋に見えた建物は、
ちゃんと人が住んでいる気配。
しかも、角がこんな三角形に
なっていた。








滝港の様子。小さい漁港だが、海に開けた感じが爽快。

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“スペース滝”は、港に面しているはずだけれど、裏からではどの建物か分からない。

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入口を探すのに
車道に戻る。

元漁網作業所だったという
建物は、こんな横長。
きれいに改装されている。
中田さんのブログでは
見ていたが、想像以上に
明るくて広い。



垣田堂さんのギター・ソロ。


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resize5161.jpg垣田さんの音楽には、
寄せては返す波のような
リズムがあって、
繊細で静かな、
たいそう美しい音色。
並々ならぬ技術の
裏付けが感じられる。

バッハの無伴奏チェロ組曲
第1番のプレリュードは、
さざ波に細かな光が
砕けるような明るさ。

「ゴキブリに捧げる」では、
1本のギターから、本当に
ゴキブリが走り回る
情景が生まれていた。



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 ウィットの効いた
 語りと歌詞。
 村本守さんの
 メリハリのある
 ブルース演奏に、
 会場は大いに
 湧いた。










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北村遊苑さんの
書道パフォーマンス。

「夢、という文字を
書こうとおもいます。
夢には、夜見る夢、
将来の夢、そして
もうひとつの意味は
-儚さ-です。」


と、過ぎ去る時への
切なさとオマージュを
表現しようとする、
ひたむきな姿勢が
心に残る。




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 山田のぶさんの
 パーカッションと
 峠裕樹さんの
 舞踏との、絶妙な
 コラボレーション。

 峠さんは途中、
 犬のぬいぐるみを
 被って踊ったり、
 この広い空間が
 音と動きで
 充たされた。




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この籠に入った明かりの傍で、
BEBEさんのタブラ演奏が、
会場の雰囲気を盛り上げた。



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 今日のプログラムが終わり、
 挨拶する出演者。


私の映像と山田のぶさんの演奏とのコラボレーションは、明日の予定。
残念ながら、明日は来ることができない。
リハーサル時の写真は送ってもらっていたが、実際どんな感じになるか、
映像の映写をしてもらい、会場に残っていた人たちと観る。

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映像作品を作り始めた03年の作、「水の章」。
この頃はまだ、8mmテープのビデオカメラを使っていたので、
画質の粗さが目立つのではと、心配していたが、
会場の壁に大きく映写されると、意外に気にならず、かえってマチエールが面白いくらい。

会場のお手伝いをしていた、旧友で画家の野中さんの車で一緒に金沢に帰る前に、
“スペース滝”の周囲を少し散歩した。

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港側から見た“滝”の建物。








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 港の周囲には、
 被写体になるものが
 いっぱい。









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 ハナダイコンに
 囲まれた船。
 この花叢の間を
 スズメや
 セグロセキレイが
 飛び回っていた。







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光る海。
波が高い一日だった。















Posted by Ru Na - 2012.05.06,Sun
昨日の深夜、北海道の泊原発が定期検査に入り、今日は日本列島の全ての原発が
42年ぶりに全て停止した。
昨日はその事が大きく報道されていたが、今日は稼働原発がゼロになったという
ニュースを聞かなかった。本当にちゃんと停止したのだろうか。
経済産業界の抵抗が大きく、メディアはあまり触れたがらないのだろうか。


原発ゼロの爽やかな朝を迎えるはずだったのに、金沢は未明から雷雨。
関東地方は巨大な竜巻に襲われ、死傷者が出てしまった。
このところ天変地異のような異常気象が多い。

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原発が停止していても、福島第一原発事故で明らかになったように、
各原発の原子炉建屋の内部には、使用済み核燃料棒が冷却水プールに多数浸かっている。
再処理のメドもつかず、原発の運転が続く限り増え続ける。
その再処理の費用は、そのまま廃棄するより多大な費用がかかることも
最近の試算で明るみに出た。
そのまま廃棄と言っても、最終処理施設は決まっておらず、
半減期が2万年以上ある放射能を出すものを、人類がどうやって管理できるというのだろう。

もしまた大きな震災に見舞われて、そのプールが損傷して使用済み燃料棒が
露出する事態になれば、また危険な事故になる可能性があることは、
素人でも想像できる。
電力会社によるストレステストには、テロやミサイル攻撃のような事態の想定はなく、
緊急時の避難計画さえ整っていないではないか。

次々と新たな活断層の情報も入ってくる。
もうこんな悠長な事をしている時間はあまりないのでは。
利権絡みで再稼働を急ぐ政府や電力会社や経済産業界に、再稼働を諦めてもらうだけではなく、
ただでさえ膨大な時間とお金がかかる原発の廃炉を、一刻も早く始めなければ、
この先何が起こるか分からない。

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今だ使用電力の詳細を伏せている電力会社は、
料金値上げのみならず、NY市の大停電時のような状態を演出して、原発が動かないと
こんな事態になるよ、という脅迫をしかねないと、疑いたくなるほど信用ができない。
停止中の高速増殖炉「もんじゅ」の維持費に、1日5千万円使っているお金を、
一刻も早く、原発廃炉や他の再生可能エネルギーにシフトするための開発に
振り分けられないのは何故?

数年遅れたって大した影響がない、本当に必要とも思われない北陸新幹線の建設等を、
緊急の防災計画や、東北の復興より優先する予算の組み方は、一体何?

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Posted by Ru Na - 2012.05.05,Sat
越後七浦の海岸を出て、角田山麓の海沿いの道を弥彦山方向に進み、
弥彦山の周囲を回るように内陸の道に入る。

直江兼続の実弟、大国実頼がその城主だった天神山城址や彌彦神社の前を通り、
おなじみ、ラムサール条約の湿地・佐潟を目指した。
途中立ち寄ったコンビニの店内では、さすが新潟、野鳥の写真展をやっていて、
トキの写真も展示されていた。


佐潟の周囲の桜並木には、まだ少し花が残っていた。満開の時はさぞきれいだっただろう。

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冬の水鳥たちはほとんど旅立った後のようである。

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コガモが数羽。

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留鳥のオオバンは、広々と静かになった湖面をのんびり滑る。

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佐潟の野鳥観察舎はとても充実していて、佐潟で見られる鳥や植物のきれいなカードや
ポスターになるカレンダーの無料配布もあって、この一帯の自然の情報が満載。
湖に住む魚たちが泳ぐ水槽も見ることができる。

観察舎から左手の湖畔の小道を行くと、ちょっとした芝の広場があって、
家族連れがお弁当を食べていたりする。
さらに進むと、半分水に浸かった平底舟が置かれている。
何故かいつも心惹かれる場所。

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湿原の上を渡る木の遊歩道。ウシガエルの声が賑やか。
なつかしい声もきこえる。あのオオヨシキリの「ギョギョシ」という囀りを、
今年初めて聞いた。可愛い小さな夏鳥はどこにいるのだろうか。

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木の上に
カラスの巣があった。
抱卵しているのか、
じっと動かない
親鳥の尾が見えた。












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         緑の葉に濃い赤の花を咲かせている
         蔓性の植物。




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 木から木へと
 飛び回りながら
 鳴いていた
 ヒヨドリ。













エナガが潅木の細い枝の間を忙しげに動き回っていたので、撮影を試みて
やっと姿を捉えたと思ったら、写っていたのは一緒にいたらしいシジュウカラだった。

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白い桜が風に揺れていた。これは何という種類だろう。

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その近くのヨシ原で、ついにオオヨシキリの姿を見つけた。

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口を開けると中が真っ赤だけれど、ウグイスに似た可愛い顔。
それもそのはず、オオヨシキリはウグイス科の鳥。

木製の二階建ての野鳥観察小屋の周囲のヨシ田の水路には、散った桜の花びらが
沢山浮いて、とてもきれい。

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オオヨシキリの声が方々聞こえるが、まだ渡ってきて間もないせいか
ヨシに潜り込んでいて、あまり上の方まで登って来ていない。

やっと姿を見つけた2羽目のオオヨシキリ。

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もうじき佐潟はオオヨシキリの声で埋めつくされるだろう。

引き返す道の途中、湖に隣接した畑の上方の梢にいた鳥。

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どう見てもツグミのようだが、
近くにいたヒヨドリに比べて、ひと回り大きく見えた。
こんな大きいツグミがいるのだろうか。

散り敷く桜の花びらと、菜の花畑の黄色が、素敵な風景を作り出していた。

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