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Posted by Ru Na - 2014.02.10,Mon
11月6日、内川での野外展も終わり、手指の腫れもましになってきたので、
サギコロニーまで飛ぶように自転車を走らせた。
左岸の工事はだいぶ進んでいる。

  

  

11月になっても日没後の中州にはこれだけのサギが戻って来た。

 

11月9日、サギコロニーより少し上流の、工事されない区間に、
コサギ、ダイサギが、カワウと一列に並んでいた。

 

 

右岸上流寄りの様子。

 

左岸は川岸の土がかなり削られていた。
ここはかってタチヤナギの木立があり、色んな植物が生えて、
サギたちの居場所をそっと隠すレース網のような緑の塀を作っていた。

  

  

こんなに見透しが良くなったら、来年サギたちは落ち着いて子育てが
できないかもしれない。

この工事計画を知り、河川課と交渉し始めた当初は工事そのものを中止して欲しかった。
政権交代後の「国土強靭化計画」と、北陸新幹線開業に向けた県の予算の中に、
河川改修費の大幅な増額を含めるという行政の指針、
景気回復のための公共事業の増加、それに、異常気象がもたらす自然災害の大規模化対策
など、この大きな流れを止める事は無理と分かってから、
災害対策と自然保護が両立する最善策を、野鳥の会は河川課と共に模索した。
残す場所、削る場所を、両岸交互に設けて、川を蛇行させる形にすれば
川幅が確保できる、という前福支部長の提案が、
サギコロニーの主要な場所を残すためにはベストな方法だった。
しかし、工事区間の最終的な線引きは、私が決めたようなもの。
こうして土が削られ、景観がどんどん変わっていくと、
これで本当に良かったのだろうかと、気が塞いで仕方がなかった。
河川課も工事業者も、例年より遅くまで残っているサギたちに、
最大限の配慮をして下さったが、伐採される木々、削られる土が、
我が身が削られるように痛々しく思えた。

日没後、中州に戻って来たのは、40羽ほどのコサギ。

 

この頃、サギたちが戻って来る時間には辺りがすっかり暗くなって、
河岸の遊歩道を通る人も滅多にいない。
それで私は、いつも帰る間際にサギたちに、
「もう行くよ。みんな気をつけてね。またね。」といった言葉をかけていた。
11月9日も同じように声をかけたら、それぞれの塒の場所に落ち着いて静まっていた
サギたちが、返事を返すように一声、一斉に鳴いた。
その可愛い声を耳に残しながら、何度も何度も振り返りながら帰路に着いた。

 
 
 
 
  
  


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Posted by Ru Na - 2014.02.09,Sun
10月半ば頃になっても、まだ渡らないサギたちはコロニーに結構残っているし、
工事区間のロープ張りのためのポールは立てられたが、工事もまだ始まらない。
展覧会の搬入まで秒読み開始で、野外用の作品も映像作品も、
制作が思うように進んでいない。さすがにあせりを感じ始めたが、
サギコロニーの様子も見に行かねばならない。

コロニーの周辺では、いつの間にか夏鳥のチュウダイサギに代って
冬鳥のダイサギが増えてきた。
 
 
 
10月19日、右岸から臨む左岸の様子がおかしい、と思ったら、
左岸の水際を縁取る木立が、ごっそり無くなって河岸があらわになっていた。

 この、残すはずの左岸上流寄りの木立が大幅に伐採された事件と、
その2日後の、河川課、両岸工事の二業者、野鳥の会の、現地話し合いについて、
以前書いたので詳しくはくり返さないが、〆切前の多忙時期に、
ますますサギコロニーから目が離せなくなってしまった。

 

この場所は中州を残す代わりに、川幅を確保するため、水門近くだけある程度
削られる予定だったが、「ある程度」どころか、ゴイサギの巣が密集していた木立の
半分が無くなってしまった。

  ↓土が剥き出しになっている所は、タチヤナギの林で覆われていた。
    

   

10月21日、河川課と両岸工事の二業者、野鳥の会が、現場を端から端まで歩いて、
工事する場所の再確認をした。
木が切られ過ぎた左岸は、これ以上木の伐採をせず、現状維持ということになった。

   

何故かこの日、午後の早い時間帯にもう戻ってきているサギたちがいて、
人間の話を聞いているかのようだった。

  

日没後、中州に戻ってきたのは、まだ50羽以上。
 
 

10月23日、コロニーの上流端の浅瀬に集まるコサギとダイサギ。

 

この両岸の緑はもうじき無くなる。

  

日没後の中州。
 
 

10月27日、内川鎮守の森ギャラリーの作品搬入日だが、天候がすぐれず、
一緒に出品して私の作品の野外設置を手伝ってくれる友人が、
搬入は天気が回復するらしい明日に延期しようと言った。
それで、夕方にかけ雨も収まったようなので、サギコロニーへ。

サギコロニーより少し上流の中州で過ごすダイサギ。

 

冬の水鳥、カワアイサ(♀)がもう来ていた。

 

右岸の工事がこれだけ進んでいた。

 

10月も末だというのに、日が暮れてから中州にこれだけ戻って来た。
まだ50羽以上いる。主にコサギのようだ。
コサギはチュウサギやアマサギのように、東南アジアまで渡らないとされていて、
冬に残っているものもいるが、それでも大半はもっと南に移動するはず。
ゴイサギ同様、中には海を渡るものもいるらしい。

 


内川鎮守の森ギャラリーが始まって、会期中はなるべく会場にいようと思ったが、
限られた時間の中で、同時にしなければならない事が多すぎて、寝る間もなく、
無理がたたったのか、ダウンしてしまった。
それでも何とか起き上がって、展覧会場も、コロニーにも行こうとしたが、
手指のアレルギー性皮膚炎がひどく悪化して、自転車のハンドルが握れないどころか
箸や鉛筆さえ持てなくなった。
じりじりした気持ちで、数日の休養を余儀なくされた。
 

 
 
 
 
 
Posted by Ru Na - 2014.02.08,Sat
   

10月、そろそろ渡りの季節。左岸上流の木立にはサギの姿が見えなくなったが、
依然としてサギたちは、夕暮れ時の中州に沢山戻って来る。
私は11月始めの展覧会の準備に追われはじめたが、
サギたちが無事に渡ってしまわないと落ち着かない。
制作そっちのけで、サギコロニー通いが続いた。

     

暑い日が続いたが、さすがに10月に入ると吹く秋風に冷たさが混じるようになった。
夕方採餌から戻ったサギたちは、両岸の木立に止まったり水辺に集まったりしている。

  

アマサギは茶色が薄くなって、ほとんど冬羽。
あどけない顔をしていたチュウサギのヒナたちも、ずい分大人びてきた。

  

樹上で風に向かい、風を見ている。

  

日没時になると、周囲の木立や水辺から飛び立ち、中州に集まる。

  
 
10月6日、中州の水辺にゴイサギの幼鳥、ホシゴイが4羽現れた。
このコロニーで一番遅く生まれ、左岸上流の木立の巣から
9月5日頃巣立ったヒナたちのようである。
ようやく対岸まで何とか飛べるようになったらしい。

  

10月6日の日没後の様子。この頃になるとサギたちがみんな中州に戻って来るのは、
辺りがすっかり暗くなってから。
カメラを三脚に乗せて、ISO6400 でシャッタースピードを遅くし、
露出も目一杯開放で撮影するようになった。

  

10月8日。まだ70~80羽位いる。
     戻ってきたサギたちは暗くなっても長い間、コロニーの上空を旋回し続けた。

  

10月10日。中州に戻って来るサギの数は一向に減らない。
     まだ飛び足りないかのように長く旋回。 

  

10月13日。サギの数がむしろ増えて100羽超え。
     北から来たサギが、渡りの途中で合流しているのかもしれない。
     上空で旋回をくり返すサギの群に、中州から飛び立った4羽が加わり、
     しだいに遠ざかり、南の空に消えていった。 

  

10月16日。暗くなっても中州のサギはまばらである。

  

いよいよ皆渡ってしまったかと思ったが、真っ暗になってからどっと戻ってきた。

  

戻って来てからやはりコロニーの上空で旋回し続ける群に、
中州にとまっていた数羽がパラパラと飛び立って合流。
旋回する群は次第に遠ざかり、南の空へ。
今、まさしくこのサギたちは、渡りに入ったのだと気付いた!

この時の光景が目に焼きついている。
周囲の建物や街灯のぼんやりした明かりでは、ほとんど何も見えないくらいの夕闇。
サギたちまでの距離はかなりあるし、この暗さでは双眼鏡代わりのカメラや
ビデオカメラのズームも、ほとんど役に立たないのに、
中州の木にとまっている成長したチュウサギのヒナたちが、
嬉々とした表情を浮かべて上を見上げ、今旅立とうとする群に向かって
舞い上がって羽ばたいていく様子やその表情が、まるで間近で見るように
その時の私には、はっきり見えたのだった。
何とも不思議な体験だった。 あれは夢?

私は、サギたちが朝採餌に出かけて、そのまま南を目指すのだと思っていたが、
どうも十分食事した後、コロニーを確認しに一旦戻って、
それから夜間、渡りをするようである。
本を調べたり色んな人に話を聞いても、サギの渡りについてははっきりしない。
ただ、小鳥たちは天敵の少ない夜間に渡りをするらしいし、
サギのような大きな鳥は、羽ばたき続けると翼に熱がこもるので、
涼しい夜間を選ぶのでは、と言った人もいる。
とにかく、「鳥目」というのは誤解があって、鳥たちは夜でも結構いろんな活動を
しているらしい。

  
 
  
 

Posted by Ru Na - 2014.01.31,Fri
季節がずれるけれど、サギコロニーの観察と保護のいきさつを続けます。

       

9月半ば、彼岸花の赤が目立つ頃、日中のコロニーに残るサギはごく僅かになった。
その代わり、大方のサギが出かけた後のコロニーに、
他所で生まれたアオサギの幼鳥が集まるようになった。

  

  

こんな幼い子も1羽きりで浅瀬にいた。

  

コロニーに残ったチュウサギ親子。ヒナは(左)かなり大きくなったけれど、
親鳥に(右) にさかんに甘えている。ほほえましい光景だった。

  

日中、ほとんどのサギが出かけるので、その分夕方コロニーに戻る群も大きくなり、
夕刻の戻りの光景も、なかなか壮観である。

  

  

  

両岸と中州の木立が、戻ってきたサギたちで覆れていく。

  

  

水辺に下りてしばらくそこで過ごしているサギたちも、
日が暮れると樹上に移動。

  

辺りが暗くなり、木の茂みが夕闇に沈んでいっても、
サギたちはまだしばらく樹上で羽ばたいている。
その様は、まるで無数の星が瞬いているように見える。
 
7月22日に、野鳥の会有志が県央土木に出向いて話をした時、
実際に現地を見て話したいというこちらの希望は、
「それは絶対やりません。」と、一蹴されたのだが、
その後副代表が話をつけて、9月24日現地立会いの運びになった。
その時の様子は以前書いたが、真夏のように暑い日の話し合いは
穏やかに進んだ。

  

サギが出かけている昼間のコロニーを見て、サギはすでに旅立ったと
誤解していた河川課の人に、早朝・夕方の写真資料を見せて、
まだサギが半数以上残っていることなど納得してもらい、
また、十分飛べない幼いゴイサギのヒナがまだいることも話した。
それで、工事の開始は10月半ば過ぎ、それに先立つ実測や工事準備は
夕方サギが戻る前の午後3時までにする、という配慮がなされる事となった。

この春から、明けても暮れてもサギコロニーで撮影した写真の資料を
作ってきたが、この時もそれが役立った。

解散してから、立会いに参加した会員と、他所のサギコロニーについて
話をしていると、中州の木陰から1羽のチュウサギが水辺に出てきた。
心細げにしている。どうやら羽を痛めて皆と一緒に出かけられなかったようだ。

  

河口まで自転車で一周して戻ると、サギたちはもうコロニーに帰ってきていた。
日が暮れ後のサギコロニーの中州。

  




  
  
  
  
  
  
  
Posted by Ru Na - 2014.01.20,Mon
19日は探鳥会と、それに引き続いて野鳥の会の新年会の日。
快晴だった前日の夜から、音もなく雪が降り積もり、
庭の池周りの雪かきをしていたら、すっかり遅くなり、
遅れついでに、室内の金魚・メダカたちの昼のお世話をしてから出かけた。

雪が石垣に美しい模様を作る広阪。

 

探鳥会の終わり頃に間に合うかな、と思ったが甘かった。
もう新年会会場に歩き出しているメンバーに会った。
でも会が始まるまでまだ時間がありそうなので、せっかくだから
 庭園のいつもの探鳥コースを一巡りした。

 

新しい雪を被った日本庭園は美しい。
お正月の頃より鳥の声もして、コゲラが近くで鳴いた。

10羽ほどのアトリの群を見つけて付いて行ったら、離れて1羽枝にとまる子。

カメラでズームしてみると、アトリのようなポーズをしたモズだった。

 

シメも近くにいた。

 

木に囲まれた斜面の細い段を降りていると、
突然木立からツグミ大の茶色い鳥が2羽飛び出して、
羽ばたきの風が顔に触れるくらい近くで、2羽が空中でもつれ合って、
またすぐ木立に飛び込んだ。どうもシロハラらしい。
今年初対面で、しかもこの園で2羽同時に見たのも始めてである。

 

木と水と雪が織り成す風景にしばし見とれ、そろそろ戻ろうとしたら、
やっとお馴染みのシジュウカラの群に出会った。
庭での雪かきの間にも、クルミをねだるシジュウカラが周囲を飛び回り、
シジュウカラまみれの毎日だけれど、
やっぱり兼六園のシジュウカラに会えたら嬉しい。
かれらに取り囲まれたくて、つい足を止めてしまう。

 

忙しげに枝から枝へ飛び回るシジュウカラの群から、
茶色っぽい小鳥が飛び出した。ウグイスかジョウビタキの♀だろうと、
反射的にビデをカメラを向けた。
帰ってから撮影した短い映像を見ると、どうも違うよう。
図鑑を見ても何か判らない。



動画から静止画を切り出して、会の掲示板で問い合わせたら、
何と、オジロビタキでは、という答えが返ってきた!
普通の図鑑には載っていない数少ない旅鳥。



遅刻が幸いして、こんな子に偶然出会うなんて。

近くの会場での新年会は、幹事手作り料理と、鳥クイズ、
会員の北海道や沖縄鳥見ツァーのスライド上映、鳥グッズ・オークションで
楽しい時間が過ぎて、あっという間に夕方になった。

  

  ← 沖縄のヤンバルクイナ。
 
 
  
  
  
   
   
   
   
   
Posted by Ru Na - 2014.01.19,Sun
18日の中流域鳥調査は、予報が外れて雪の陰も青い冬晴れの日となった。
集合場所に急ぐ途中、ホオジロガモが気持ち良さそうに潜っているので、
思わず足を留めた。
昨冬も、この冬もホオジロガモは地味な♀しかいなかったが、
昨日の夕方、ようやく♂の姿を見た。
今日も1羽の♂と2羽の♀が、楽しそうにしている。

  

空気は刺すように冷たいのだが、眩しい日差しに水面がキラキラして、
ホオジロガモの頭が、きれいな緑色に輝いていた。



日本では稀にしか見られない水鳥が、昨年の晩秋に一度目撃され、2日前再び出現した。
早くもその情報が漏れたせいか、対岸にカメラマンの一群がいた。
彼らがレンズで追っていたのは・・・。

  

この子はいつもこの辺りにいる普通のカワアイサなのだけれど・・・・。
いきなり周囲が騒がしくなって、ちょっと戸惑い気味。

鳥調査では、相変わらず工事だらけの川原で、久しぶりにイカルチドリに会った。

  

寒いので頭を羽につっこんで、小石と一体化していた。

枯れ草に着いたままで溶けない氷。



冬の陽が嬉しそうなモズ。

  

水量が多い岩場も白い光に溢れていた。

     

行きにさかんに水に潜っていたシノリガモのカップル。
帰りに見ると、岸辺にちょこんと並んで、まるでお雛さまのよう。



解散してから買い物をして帰路に着いたが、
 この寒い中、カメラマンたちはまだ河岸でねばっていた。
 
 
  
 
 
 
 
Posted by Ru Na - 2014.01.17,Fri
9月11日 午前5時20分頃。
右岸寄りの中州先端と左岸が見通せる、サギコロニー下流の橋の上へ。

   

山の端に薄っすら雲がかかる程度で、空は澄み、快晴になるらしい。
日の出前の朝もやはすでに明るく、川面には仄かな紅が映えている。
中州の先端にとまるサギたちは、さながら無数に咲く小さな白い花。





こんな早朝、引切り無しに橋を通る車の音が背後に聞こえるが、
川と河岸は静まりかえり、樹上のサギたちもまだじっとしている。
夜明け間近な夏の大気は、これから始まる壮大なシンフォニーへの、
期待を含むかようで、私には音楽が微かに流れるように感じられた。

もう日の出時刻。
上流から飛び立ったサギの群の羽ばたくシルエットが、川の奥から現れて、
川面いっぱいに広がり、ぐんぐん近づいて来た。



左岸・上流の木立から、雪崩れるように宙に飛び出す翼たち。







最初の一群が空に消えるとコロニーは再び静かになった。
中州先端のサギたちは、まだのんびりしている様子。
 


と、突然、白い蕾が一斉に開いたように







あっという間に飛び立った。

 

丁度その時、山の端にかかる雲から朝日が姿を現した。

 

黄金に輝く空と水。





コロニーに残ったサギたちを、まぶしい光が包み込む。





いまだまどろみの中にある街の上を、サギたちが力強く飛翔してゆく。
ここで生まれここで育ったヒナが、すっかり成長し、親鳥と共に餌場に向かう。
鳥がいつから鳥になったのか私は知らない。
多分人が人になる前から、サギたちはこうして生きてきた。
太古から繰り返されてきた生命の営み、其々の個にとっては一回限りの現在が、
人の生活と交錯するこの一瞬。
  
  世界は美しい。
  こんなにも美しい。
 
 
  
  
  
  
  
   
   
   
   
Posted by Ru Na - 2014.01.15,Wed
翌9月7日、前日より早目に家を出て、夜明け前の暗い道を急ぐ。
日の出10分前にサギコロニーに着いた。
空は曇り辺りはいつまでも暗い中、日の出時刻きっかりに
コロニー上流のサギたちから飛び立ち始めた。

 

まだ暗い川の上に、もう一筋の白い流れができたように壮観。
群はコロニーの上を旋回し、次第に高度を上げていく。
その群の一部はやはり中州に降り、ほどなくして中州や下流寄りの
木に止まっていたサギも、順次群で飛び立って、旋回の後南の空へ。

 

 

朝6時前にはコロニーはすっかり落ち着いて、残った幼いサギたちは
思い思いに羽ばたき練習をしたり、木立から木立に飛んでみたり、
水辺で餌取りの真似事をしている。
その間にも、2,3羽づつ上空に舞い上がたサギが、遅ればせながら南に飛んでいった。
4羽のホシゴイも空高く飛んで、ビルの陰に見えなくなった。

水辺のサギたち。熱心に水面をつついて、嘴で捕えるのはやはり泥や草の根など。

 

この日も朝の散歩の人、これから早朝のフィットネスクラブに行くという人などが、
次々と話しかけてきて、なかなか話がとぎれなかった。

9月9日、さらに早く家を出る。
天気は快晴。夜明けまでにまだ間があるのに、藍色の暗い空がつんと澄んで、
街灯の明かりが淡く見えるほど、川原は白々とほの明るい。
サギコロニーに着いた頃は、木々の輪郭がはっきり見えるほどなのに、
サギたちは日の出時刻が来るまで、木立に行儀良くとまっている。
左岸・上流寄りの様子。

 

日の出が近づくと、密集した白い点のような群の1~2羽が、
ふっと飛び立って周囲をゆっくり旋回したり、全身をぶるぶるさせて
飛ぶ準備体操をしているサギの動きが増えてくる。
この日は、ザーッという音が聞こえそうな大群での一斉飛び立ちはなく、
中くらいの群が順々に飛び立ち、やはり15分くらいで、
出かけるものは皆南の方角に飛び去って行った。

 

 

中州の飛び立ち前と飛び立ち後。

 

 

コロニーに残るサギの数は、だいぶ少なくなった。
水辺で餌取りの練習や、樹上で羽ばたき練習に余念がない様子。

 

 

9月に入ったとはいえ、まだまだ真夏の日が続いている。
日が昇ると強い日差しがとても眩しい。今日も暑くなりそう。

 

 
 
 朝日を受けて叢の葉が霧を吹きかけられた用になる。
この朝露は、葉脈が植物の体内の水分を吐き出したもの。



9月6日に空っぽになっていたゴイサギの巣がある木立を、対岸から見ると、
木の根元の辺りにゴイサギ親子がいた!



親鳥と4羽のヒナたち。しっかり枝につかまって、少し伝い歩きもしていた。





これから十分飛べるようになるまで、少なくとも40日。
工事が始まるまでに、順調に育って欲しいと思いながら、
気温がぐんぐん上昇していく川沿いを通って、家路に着いた。


  
  
  
  
  
   
   
Posted by Ru Na - 2014.01.13,Mon
成人の日の今日は、日本野鳥の会の全国一斉ガンカモ調査の日でもある。
県内でも12箇所同時に、ガンやカモ類などの水鳥の種類と数を調べた。

雪の降りしきる厳寒の川の中流域にも、大勢のメンバーが集まって
双眼鏡やカメラで水鳥の姿を追った。

   

工事だらけの河川。こんな祝日にも重機が休まず動いている。

   

大規模な河川工事が始まった2年前から、冬の水鳥は著しく減少。
それでも野鳥たちは、健気に工事現場のすぐ横で、かれらの活動をしている。
本来海にいるこのカモたちは、去年から何故か中流域に来ている。
1年前は1羽だけ。年末も1羽だったのが、年が明けたら2羽になっていた。
いつもつがいで仲良く水に潜ったりしている。




工事区間を外れた所に、水鳥の溜り場があるが、
今日はコガモとカイツブリが集まっていた。

 

 オオバンは少し下流でいつものマイペース。

 

工事中の可動堰にとまるカワガラス。
 
春になる前に繁殖を始めるこの小さな鳥は、工事現場に平気で出入りしている。
3月一杯かかるという工事が、巣作りに悪影響するのではと心配になる。
 

 

ずっとこの川を見てきたベテランの先輩の話では、
カワガラスは本来山の渓流にいる鳥。
20年ほど前に、傷病のため夏をここで過ごした1羽がいて、
その翌年の冬から、こんな街なかにカワガラスが急に増えてきたとのこと。
ケガしたカワガラスの仲間が迎えに来て、そのまま居ついてしまったのでは、
と先輩は考えている。

この調査では、ガンカモ以外にも現れた鳥の種類をチェックしている。
トビ、ハシボソガラス、セグロセキレイ、ハクセキレイ、イカルチドリ、
スズメ、エナガ、シジュウカラ、コゲラなどが雪をものとせず活動していた。
もうじき削られてしまう河岸の草地で、ホオジロやアオジが
いつものように枯れ草にとまったり、潜り込んだり。
かれらの居場所はどんどん狭められている。

 

夕方買い物に出るついでに、広阪休憩館で開催中の前支部長の野鳥写真展へ。

  

滅多に見られない鳥の写真がずらりと並び、
舳倉島が、渡り鳥の貴重な中継地であることを発見して世に知らせた前支部長の、
鳥の話が聞けるのが嬉しくて、3日連続で通ってしまった。

 

昨日、おとついと、やはり近くで開催していた「北前船で運ばれてきた染織品」展も
野鳥展の後、合わせて2日連続で見に行った。
藍染の布を刺子で補強しながら大切に使い続けた普段着や、風呂敷などの、
手仕事の妙、自然に生まれたデザインの美しさを堪能し、
物を大切にし、自然に対して謙虚であった時代に思いを馳せたのだった。



  
  
  
  
Posted by Ru Na - 2014.01.12,Sun
この冬、早い時期から真冬並の寒波が来たり、例年より低温の日が多いが、
ここにきてようやくと言うか、ついに北陸らしい湿っぽい雪の到来。
どんよりと暗い季節になったが、サギコロニーの話を続けたい。

早朝のサギの飛び立ちを見たくて、9月6日の未明、外出の準備はしたが、
窓から見る空は曇っているらしく、もうじき日が昇るとはおもえないくらいの漆黒。
ぐずぐずしていたら時間がどんどん過ぎるので、思い切って外に出た。
真夜中のような川原は、それでも仄かな明るさに包まれていて、
こんな時刻にもう散歩を始めている人がちらほらいる。
空が幾分明るむ。日の出時刻までもう30分もない。
気持ちが焦ってきて、ライトを点けた自転車をとばした。

家を出た頃は街灯の明かりがまだ闇に勝っていたのに、
視界が次第に明るくなって、草の緑色が見分けられるくらいになった。
サギコロニーの一番上流寄りに差し掛かった時、日の出時刻になった。
5時24分。こちら岸の木立で、対岸のサギ密集地帯は隠れている。
早く全体を見渡せる場所にたどり着きたい、と思った瞬間、
対岸を隠す木立の向うに、無数の白い翼が舞い上がって、
見る見るうちにまだ暗い空を覆いつくした。



足を止めて、どんどん湧き上がってくる翼の群に思わず見とれていた。

間一髪、飛び立ちに間に合ったけれど、みんな行ってしまったのかと、
坂を登ってコロニー全体を見渡すと、
今飛び立ったのは、左岸の一番上流寄りの木立にいたサギたちで、
中州や下流寄りのサギたちはまだ飛び立ち前だった。



夜が明けた川の上を、上流から順に群が飛び立っていく。



群の一部は、いったん下流の木立に降りて、そこにとまる群と合流。
しばらく後に、また群をなして飛び立ち、旋回しながら南西方向の空に消えていった。

ダイナミックな飛び立ちの光景は、20分足らずで収まった。
その後コロニーに残っているのは、主にまだ十分飛べない幼鳥たち。

 

水辺に集まって一人前の餌取りの格好をしているが、
見ていると嘴で持ち上げるのは、水の中の小枝や草ばかり。
持ち上げては落とし、また小枝を捕まえる、を熱心にくり返していた。
こうした練習を重ねて、そのうち他のサギたちと一緒に
本格的な田畑での餌取りに出かけられるようになるのだろう。



ゴイサギの幼鳥、ホシゴイも十数羽の群で水面近くを対岸まで飛んだり、
飛ぶ練習をしていた。
霧雨のような細かい雨が降り出した。
雨が止むのを待って左岸に回ってみると、このコロニーで一番遅くに
ヒナが誕生したゴイサギの巣が、空っぽになっていた。
ようやく無事に巣立ったらしい。

 
 
 
 
   
   
   
   
Posted by Ru Na - 2014.01.07,Tue
この冬は平年より気温が低い日が続いているが、まだ積もるほどの雪はない。
しかしこれから来る寒波は大雪をもたらしそうな気配。
今日は久しぶりの快晴となり、こんな天候はこの先滅多にないかもしれないと、
何とか時間をやりくりして、河口の森まで自転車を走らせた。

年末は忙しくて森に行くことができなかった。
2日前も、ようやく雨の合間と空き時間が一致したので、
久しぶりの森の空気を吸いに行ったところだった。
1月5日は風が凍るように冷たかった。
川にはキンクロハジロ、ホシハジロ、ヒドリガモと、冬の水鳥たちが勢ぞろい。
頭の緑色がすてきなヨシガモも4つがい来ていた。

 

大声で鳴きながら近くまで飛んできたのはセグロカモメ。

 

こちらを見ては何か言いたげに鳴くので、人間語で答えたが、
首をしきりにかしげて、先を急ぐ私をいつまでも見ていた。

森でコゲラやツグミに出会った。

 

 

薄暗くなりかけた小川で、くりくりと可愛い目をしたジョウビタキの♀が水浴び。
風花のように雪が少し舞った。

  

今朝は氷点下まで冷え込んだが、明るい日差しに日中は8℃という快適な気温。
河川工事の様子をチェックしてから河口に向かう。
カルガモやカワアイサが工事区間外に居場所を見つけているのに安堵したり、
同じ場所で何度も出会うモズに挨拶したり。途中寄り道ばかり。

 
 
カワガラスが、周囲工事だらけの橋の下で丸くなっていた。
2月に繁殖するカワガラスが、巣を作る場所をうまく見つけられるだろうか。

 

河口近くでは、カワウがカモたちとのんびり日向ぼっこ。
こんな眩しい日差しは久しくなかった。







カンムリカイツブリも元気そう。去年のこの時期より濃い色をしていた。

 

エナガの群にも出会った。

 

    森の向うに沈む日。

    

    満ち始めた月が明るく輝いた。

    

  
 
 
  
 
 
 
 
  
  
Posted by Ru Na - 2014.01.04,Sat
新年最初に見た鳥を、“初見の鳥”と云うが、毎年たいてい庭の常連が私の初見の鳥である。
かれらには人間の暮れも正月も関係ないから、夜中に出しておいた早朝用の餌を食べて、
私が庭に面した2階の物干しや廊下で何かしていると、鳴いて次の食事を要求する。
この元日もヒヨドリがあげる嬉しそうな声に返事する事から始まり、
庭に出るガラス戸を開けると、シジュウカラが羽音をたてて近くを飛び回った。

シジュウカラは人懐こい鳥で、私が庭に出ても平気で近くの枝にとまって
さかんに何か話しかけてくる。人の目の前で吊りかごの中の砕いたクルミの実を
つついたり、1粒持ち出しては木の枝の上で両足で押さえながら上手に食べている。
ウグイスはここでは最古参なのにとても遠慮がちで、他の鳥たちの合間をぬって
さっと来てはすばやく食べて、さっと行ってしまう。
気の強いメジロたちは、この冬まだあまり見かけない。

気のせいか、なんだか私はシジュウカラに好かれているようだ。
前の冬も、雪の川原に行くと決まってシジュウカラが寄って来た。
強風が吹き荒れている時でも、細い枯れ木の根元からわざわざ出てきて、
風にひどくあおられているのに、細い枝に必死でしがみつきながら、
こちらの顔を見ながらひとしきり鳴くのである。
シジュウカラ語が解らない私はただ、「早く風の当たらない所にお入りなさい。」
と答えるしかできなかった。

正月三が日はせっかく兼六園の無料開放をしているので、
2日と3日の夕方、ちょっとのぞきに行ってきた。

近くの神社のおみくじ。いつからピンクになったのだろう。

   

お昼前後は陽が出ていたが、夕方はどんより曇って小雨までぱらついた。

   

夕方の人出は少なかったが、天気が悪いせいか鳥の声がしない。
霞が池にはカイツブリの姿はなく、カワセミもいつもの場所に
いる気配もない。
昨秋この園の池の大掃除が行われた時にどこかに行ってしまったのか、
それともたまたま出かけているのか。
池の鯉たちは相変わらずお腹が空いたという顔をしている。

  

お馴染みの冬鳥シロハラも、まだ来ていない様子。
ようやくヒヨドリの声が聞こえたと思ったら、
シジュウカラの群が近くにやって来て、あっという間に取り囲まれてしまった。

 

いつも一緒にいるヤマガラはいなかったが、庭園が急に生き々しだした。

 

3日は前日よりもっと鳥の声が少なく、カルガモは霞が池から
別の小さい池に移っていた。お昼前後の陽が出た時間帯に、
どっと観光客が押し寄せたので、人ごみに嫌気がさしたのかもしれない。

 

小雨が降るし、会いたかったアオジの声もしないし、
いつもは小鳥が多くいる場所も深閑としているので、
あきらめて帰りかけたら、なつかしいツーツーという声。
シジュウカラが2羽飛んできて、しばらく近くの木にとまってくれた。

 

久しぶりに訪れた兼六園で、2日連続してシジュウカラに挨拶でき、
ほかほか温まったような気分の新年になった。
 
 
 
 
 
 
 
  
  
   
   
    
   
Posted by Ru Na - 2014.01.01,Wed

明けましておめでとうございます。


 災いの少ない穏やかな年になりますように。
多くの生命が本来の力を発揮できる、平和で美しい地球でありますように。







 
 




 

Posted by Ru Na - 2013.12.31,Tue
仕事で北欧に行っている連れ合いは、クリスマス休暇を利用して
馴染んだ街を訪ね歩いている。

J.S.バッハゆかりのライプチッヒから届いた絵葉書。

 
聖トーマス教会前のバッハ像の(この像を建てるためメンデルスゾーンが奔走した。)
背後に、クリスマス・オラトリオの楽譜。

そして今日、ドレスデン便りが届いた。



エルベ川のほとりの古都ドレスデンは、第二次大戦時に英米軍の空爆で破壊された。
その無差別爆撃は、広島・長崎と並んで第二次大戦最大の悲劇と伝えられる。

この空爆により崩壊したフラウエン教会。
東西ドイツ統一後間もない頃に私がこの街を訪ねた時は、
川の近くの広場に瓦礫がうず高く積まれたままの姿だった。
街のあちらこちらで、戦後50年以上経っているのに、戦災で壊れた建物の修復が
まだ続いているのが印象的だった。

その後フラウエン教会の再建運動が起こり、
オリジナルの建材を極力使って、2005年に完成。
その計画や資金援助にイギリスも加わっていた。
かって敵対した国が共に手を携えて、この文化遺産を再建したのである。

   

大戦で破壊された街の粘り強い再建は、ポーランドのワルシャワが有名で、
市民が瓦礫になったかっての建物のかけら一つひとつを拾い集め、
ついには古い街を再現させたのだった。
ドイツの街にも、同じような努力によって再建された古い町並みや建物が
方々にある。
フランクフルトのレーマー広場や、ゲーテハウスなど。
このゲーテの生家は、ありとある資料を基に、床板の釘の位置まで、
出来る限り元通りにしてあるらしい。

ヨーロッパでは、自分たちの住む街空間や歴史に対する深い思い入れと愛情が、
およそ不可能と思われる事も成し遂げるケースが多くあるのが羨ましい。
その情熱は、護岸で固められた川を、かっての自然の状態に戻すため、
昔あった岩の大きさや位置にもこだわって再現しようとする姿勢に
連綿と受け継がれている気がする。







Posted by Ru Na - 2013.12.27,Fri
国際交流サロンでの二人展「森の二しずくⅡ」が無事終了。

   

年末で悪天候続の中、足を運んでくださった方々に感謝します。

折しも会期中の24日、クリスマスイヴの日に、フレデリック・バックが亡くなった。
ジャン・ジオノの「木を植えた男」を、繊細な鉛筆画による絵本とアニメーション映画に
制作し、世界中の多くの心に木々への愛情を呼び覚ましたカナダ在住の画家である。

南仏プロヴァンスの、吹きすさぶ強風で焼けた土地に、
(実際プロヴァンスには、その穏やかな気候というイメージとうらはらに
強烈なミストラル-北風-がもたらす厳しい自然がある。)
日々のつつましい祈りのように、独り黙々と団栗の実を植え続け、
森を再生し、その地域の荒廃した人々の心までも蘇生した 無名の羊飼い、
最後まで自分の為す事に気負いもなく、誰に告げるでもなくやり遂げた
一人の男の物語。

      

フレデリック・バックの描く男の、土に種を植えるその無骨な指先の
柔らかさ、優しさ、愛おしさの表現に、いたく心打たれた。
彼の他の映像作品も、人間の文明、産業で瀕死の状態になった地や海や川が
再生する希望を謳っている。

    



私にこの本と映画を教えてくれた友人は、この物語に感銘を受け、
その後砂漠化した土地の植樹運動に参加した。
 丁度その24日、私も工事中の河岸の緑地が少しでも残るように、
河川課に交渉していたのだった。

展覧会場の古い屋敷には美しい庭がある。
自然のままに生う草木と、人の手で管理された日本庭園の樹木は違うが、
この交流サロンの管理人が慈しんで手入れしている木々でさえ、
迷惑だから切って欲しいと、近辺の住民がクレームをつけるという
信じられない話を聞いた。

    

近頃スズメが群をなして木に止まるので、そのうち鳥がうるさいと
文句を言う人がでてくるでしょう、と管理人。
サギのコロニーの記録映像の前で、見に来て下さった人と
防災や工事や自然環境保全などいろんな話しをしたが、
中央公園の木の伐採問題について、「私は伐採が正しかったと思う。」
という意見にも出会った。
日頃色んな生きものに暖かなまなざしを注いでいるその人は、
公園の植え込みが不審者の隠れ場所になったり、
茂りすぎた木が地上を暗くしているのを心配していたのだった。 
木一本についても色んな見方があり、其々が色んな考えを正しいと
思っているのだが、公共事業となると、その折り合いをつける
ポイントの位置が問題なのである。
そして近年ますます「木を植えた男」の対極に偏っている気がする。

展覧会場は蔵のギャラリーがメインだが、
和室の床の間に飾る作品を、作家の意見や希望を取り入れながら、
サロンの管理人がコーディネートするのがこのスペースの特徴である。
専属の華道家が生ける花と調和し、あくまでも「和」の空間の静けさが
保たれるように、作品を設置しなければならない。

今回管理人が決めた3箇所の床の間に、そのために準備した作品のパーツを
自由に設置してよい事になっていたので、
下の作品のように、3箇所すべて立体的に設置しようと考えていた。



ところが、他の2箇所に先ず、奥の面を作る作品パーツを設置してみたら、
これ以上何も要らないくらい、床の間の空間にマッチしてしまった。

 

床の間という和室の特別な場所は、“過剰”より、出来る限り削ぎ落とすことで、
かえってその“場”の美が饒舌になると、改めて目が覚める思いがしたのだった。



メイン会場では、空調の効果で、作品はいつも緩やかに回転していて、
全体の形が常に変化しているのだが、戸を明けて人が出入りする度、
入り口から流れ込む外気が空調の暖かい空気とぶつかって
作品が急に大きく回転するのが、なかなか好評だった。



最終日は時折雪が降り、庭の苔の上に薄っすらと白粉を刷いていた。



            

展覧会を無事に終え、作品を持ち運ぶ私の手の上にも粉雪が降りかかり、
背筋がすっと伸びる想いがした。
 
   
     
     
     
     
     
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金沢市在住の美術家
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