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Posted by Ru Na - 2011.04.26,Tue
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今日でチェルノブイリ原発事故が起きてから25年。
当初はわりと呑気でいたが、しだいに事の重大さに気が付いてから、
私の中で世界が一変してしまった。

新しさをとにかく礼賛し、何につけ変化が当たり前で良い事という風潮が、
あまりにも強い日本で、失われていくものに悲しみばかり感じていた20代、
留学先したフランスには、まったく逆の、好もしく思う価値観があった。
歴史や時の記憶を日常生活に至るまでそのまま留め、
古いものを古いというだけでむやみに捨てることのない世界だった。

中世の教会でも現在の建物でも、古代ローマの神殿の柱や建材を
そのまま利用している所が多いのには驚いたが、第二次大戦時に独軍が残した
壕まで住宅に転用しているものまで見かけた時には、さらに驚いた。
フランスでは家具付きの貸し部屋が多く、実際私が住んだ何箇所かの部屋にも、
大抵100年は経っていると思われる家具や食器があって、ありがたく使わせてもらった。
人が乗って扉を閉めなければ電気が流れない、時代物の鉄かごのようなエレベーターは
ごく一般的。人が通る間だけ点灯する建物内の廊下や階段の灯り。
新しいものはめったに買わない代わり、どうやっても動かない家電でも、
そのまま持ち続けている友人も多かった。

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よく、日本は自然と調和した生活をしているが、欧州は人間中心主義で
自然を支配しようとしている、と言われるが、私の見たところ、
田園でも山岳地帯でも、ずいぶん自然が大事にされているように感じられた。
清掃人が日常に掃除しない場所では、日本の河川のようなゴミの散乱は
あまり見られなかったし、道路は大木を避けて迂回したり地形を大切にし、
都会でも夜の暗さや静けさを大切にして、電飾や騒音で夜がかき乱されている所は少ない。

新たなものを造る時は古いものとの調和を考え、じっくり時間をかけているので、
ある日突然、見慣れた風景が開発のため消えてしまう、という悲しみが少ない、
時の流れにも安定した安心感を持てる社会だったのに。
事故後、遠く離れたフランスのワイン、イギリスの紅茶、イタリアのパスタなども汚染された。
見えない放射能が、この私の好きな古い美しい大陸をじわじわと蝕んでゆくのは
いたたまれない思いだった。

帰国してずい分月日が経ち、日本にも移ろいだけではない変わらぬ時が
流れるのに気づき、この長い列島の自然の魅力を、毎年新たに発見しているのに、
今、福島原発が見えない汚染でかけがえのないものを破壊している。
牛は、にわとりは、何が起こっているのか知らないのに命を奪われ、
人間のみならず、草花や虫や鳥たちは、知らないうちに生活を奪われている。
チェルノブイリ近郊では、ツバメなど渡りの鳥たちにも奇形が見られるという。

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