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Posted by Ru Na - 2011.02.08,Tue
何かをしている時、よくラジオのNHK-FMをつけっぱなしにしている。
今日の午後、ベートーヴェンのピアノソナタ№26「告別」が流れてるなあと、
何気なく聴いていたら、なんだかとても面白い弾き方。
タッチはとても軽く、一音一音がはっきりして光の粒のようにキラキラしている。
まるでグレン・グールドみたい。でも、ところどころペダルを効かせているので
G・グールドとは違う。全体の構造がくっきりしていて、知的だけれど情感もある。
軽やかだけど近頃の若いピアニストのように音が薄いのでもない。
一体誰が、と曲が終わって演奏家の名が告げられたら、それはアンドラーシュ・シフだった。
そういえば、先日もシフのベートーヴェン№28をラジオで聴いて、
たいそう感銘を受けたのを思い出した。

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アンドラーシュ・シフといえば、80年代よくNHKでシューベルトのソナタを弾いている
番組をやっていて、何度か録画し何度も視聴したけれど、
どうも冗長でぼやっとしていて、そのおかげでシューベルトのソナタは冗長で
シフは冗長なシューベルト弾き、という印象が長く植え付けられていた。
それが変わったのは、「20世紀の名ピアニスト」という200枚セットのCDボックスを
入手した10年前。
その中のシフの、バッハのインベンションを聴いて、その面白さに正直驚いた。
なるほどG・グールドの弟子と自称しているらしいのも納得できた。

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G・グールドは33歳でコンサートを引退する前、ヨーロッパツアーを行ったが、
ウィーンでのコンサート会場の熱狂的な聴衆の中には、あの、若き日のA・ブレンデルが
居たというし、各コンサートの海賊版が、直後に鉄のカーテンの向こう側、
東欧のラジオから流されて、それを東欧の若いピアニストたちが、むさぼるように聴いていた
中の一人がシフだという。

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20世紀のとてつもないピアノの巨人たち、リヒテル、ギレリス、ホロヴィッツ、
ルービンシュタイン、ミケランジェリ・・・・が、そして、グルダが逝って久しくなる。
ブレンデルは引退表明し、アルゲリッチはあまりソロ活動しなくなり、
ガブリーロフやプレトニョフは指揮者に転向し、
とんでもない演奏を聴かせてくれる大御所が少なくなったような気がしていたけれど、
これからはシフに注目してみよう。楽しみになってきた。

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