見たこと、聞いたこと、感じたこと、考えたこと。
Posted by Ru Na - 2016.02.27,Sat
時折、この世は“胡蝶の夢”か?と思ってしまう感覚は、
多分少なからぬ人が持っているものだろう。
現在自分が居る世界が本当に夢ならいい。そうすれば、
パルミラ遺跡は破壊されていず、こんなに多くの人が難民として
彷徨を余儀なくされることもなく、地元生物や住民を蹂躙するような
辺野古埋め立ての強行もなく、私のマザーリバーが工事で様変わりしてゆく
のを目の当たりにしなければならぬこともなく、
蝶が目覚めれば、全てがもう少しましな世界になっているかもしれない。
加賀藩お抱え学者だった祖先の墓の横に、お弟子さんたちが建ててくれた
石碑があって、四面びっしり漢字で覆われている。
漢文のうえ、石の劣化で文字が読みづらくなっている箇所もあって、
よく分からないのだが、お墓参りに行く度に眺めては、
少し意味が汲み取れると嬉しくなる。
その中に漢詩のような文があり、私のお気に入りは、
「百年酔夢」という一節。
その文字を幾度も眺め、静かな墓所で木々のざわめきを聴いていると、
江戸時代に生きた先祖が、やはりその時代なりの無常観で、世界や自分もを
俯瞰していたのかと、急にとても身近に感じられる瞬間がある。
秋の終り頃から、時々萩尾望都作品を読み返している。
少女漫画にかって無かった発想のストーリーと、深い心理描写や文学性を導入し、
漫画の範疇を超え、演劇や文学など、色んなジャンルの文化に影響を与えてきた。
その中で、改めて特に面白いと思ったのは、パラレルワールドを扱った作品。
パラレルワールドとは、SFによく出てくる、この世界と並行して存在する
並行世界、並行宇宙、並行時空、異世界。
手塚治虫がよく扱ったテーマで、世界を別の視点から眺めるその想像力には、
私も子供の頃からずい分刺激を受けてきた。
もしも関が原で西軍が勝利していたら、日本の首都は東京ではなかったかも
しれず、私も別の町に生まれていたかもしれない。(祖先は西軍。)
もしもあの日、出かけるのが5分遅かったら、交通事故に遭っていなかったかも
しれない・・・。
その「もしも」の世界が、実際に存在し、自分が居る現実空間に重なっているのが
並行世界である。
「もしも」の世界は、想像上の物語として、文学や映画によく描かれる。
「ナルニア国物語」では、子供たちが入り込んだ古いタンスの奥に異世界が広がる。
「ネヴァーエンディングストーリー」では、古い書物の中の世界が、
本を読む少年の現実世界と干渉し合う。
現実の街に少しだけ現実とずれた別の時空間が重なっていて、ふとしたはずみに
二つの世界を行き来する破目になる物語は、レイ・ブラッドベリがよく書いている。
映画でも、タイムトラベルや過去と現在が重なってしまうもの、
時間と夢が入れ子状態になるものなど、枚挙にいとまがない。
パラレルワールドは完全に空想の産物なのかというと、
宇宙には反物質というものもあったりするので、
量子力学の世界では、「複数の干渉し合う世界」が存在しえる、
という仮説もあるらしい。
人は人の知覚で捉えられるもののみ現実として、知覚外の世界は
空想だと決め付けがちだが、想像力の中に多次元世界を垣間見るための
重要なキーが、もしかしたら転がっているかもしれない。
萩尾望都作品に話を戻そう。
「ポーの一族」で、時空を超えて生き続ける少年たちと
各時代に偶然関わった人のつながりが、物語を追うごとに
次第に明らかになる、という壮大で複雑な構想を描き切った力量は、
後の作品で更に留まることなく発展してゆく。まさしく天才。
誰かの見る夢が現実とシンクロする代表的なものは、「モザイクラセン」や
SF大賞を受けた「バルバラ異界」。
「11人いる!」に始まり、宇宙空間にまで広がる世界観は、
「A-A’」「銀の三角」で更に複雑に発展する。
「マージナル」は、色んな要素を含んだ完成度の高い作品である。
核か環境汚染でヒトに子供が生まれなくなった未来の地球。
男ばかりになった世界で、“マザ”と呼ばれる唯一の疑似女性に、
各地方の町や村が“センター”で人工的に誕生した子供を貰う。
地上で暮らす人間は、この世界のシステムの全体像が見えない。
見えないが、何かおかしいぞと感じる者たちが、物語を進展させていく。
興味深いのは、これまで萩尾作品に度々出てきた、人間の性別の問題。
萩尾作品には、性転換する種が登場し、物語の核になっている。
生物界には性が未分化だったり性転換するものがいる。
高等生物には現在のところ見られないが、環境ホルモンが生物の♂♀の
バランスを崩すということが、実際に起きている。
将来人間にもそれが起こらないとは、誰が予測できようか。
多分少なからぬ人が持っているものだろう。
現在自分が居る世界が本当に夢ならいい。そうすれば、
パルミラ遺跡は破壊されていず、こんなに多くの人が難民として
彷徨を余儀なくされることもなく、地元生物や住民を蹂躙するような
辺野古埋め立ての強行もなく、私のマザーリバーが工事で様変わりしてゆく
のを目の当たりにしなければならぬこともなく、
蝶が目覚めれば、全てがもう少しましな世界になっているかもしれない。
加賀藩お抱え学者だった祖先の墓の横に、お弟子さんたちが建ててくれた
石碑があって、四面びっしり漢字で覆われている。
漢文のうえ、石の劣化で文字が読みづらくなっている箇所もあって、
よく分からないのだが、お墓参りに行く度に眺めては、
少し意味が汲み取れると嬉しくなる。
その中に漢詩のような文があり、私のお気に入りは、
「百年酔夢」という一節。
その文字を幾度も眺め、静かな墓所で木々のざわめきを聴いていると、
江戸時代に生きた先祖が、やはりその時代なりの無常観で、世界や自分もを
俯瞰していたのかと、急にとても身近に感じられる瞬間がある。
秋の終り頃から、時々萩尾望都作品を読み返している。
少女漫画にかって無かった発想のストーリーと、深い心理描写や文学性を導入し、
漫画の範疇を超え、演劇や文学など、色んなジャンルの文化に影響を与えてきた。
その中で、改めて特に面白いと思ったのは、パラレルワールドを扱った作品。
パラレルワールドとは、SFによく出てくる、この世界と並行して存在する
並行世界、並行宇宙、並行時空、異世界。
手塚治虫がよく扱ったテーマで、世界を別の視点から眺めるその想像力には、
私も子供の頃からずい分刺激を受けてきた。
もしも関が原で西軍が勝利していたら、日本の首都は東京ではなかったかも
しれず、私も別の町に生まれていたかもしれない。(祖先は西軍。)
もしもあの日、出かけるのが5分遅かったら、交通事故に遭っていなかったかも
しれない・・・。
その「もしも」の世界が、実際に存在し、自分が居る現実空間に重なっているのが
並行世界である。
「もしも」の世界は、想像上の物語として、文学や映画によく描かれる。
「ナルニア国物語」では、子供たちが入り込んだ古いタンスの奥に異世界が広がる。
「ネヴァーエンディングストーリー」では、古い書物の中の世界が、
本を読む少年の現実世界と干渉し合う。
現実の街に少しだけ現実とずれた別の時空間が重なっていて、ふとしたはずみに
二つの世界を行き来する破目になる物語は、レイ・ブラッドベリがよく書いている。
映画でも、タイムトラベルや過去と現在が重なってしまうもの、
時間と夢が入れ子状態になるものなど、枚挙にいとまがない。
パラレルワールドは完全に空想の産物なのかというと、
宇宙には反物質というものもあったりするので、
量子力学の世界では、「複数の干渉し合う世界」が存在しえる、
という仮説もあるらしい。
人は人の知覚で捉えられるもののみ現実として、知覚外の世界は
空想だと決め付けがちだが、想像力の中に多次元世界を垣間見るための
重要なキーが、もしかしたら転がっているかもしれない。
萩尾望都作品に話を戻そう。
「ポーの一族」で、時空を超えて生き続ける少年たちと
各時代に偶然関わった人のつながりが、物語を追うごとに
次第に明らかになる、という壮大で複雑な構想を描き切った力量は、
後の作品で更に留まることなく発展してゆく。まさしく天才。
誰かの見る夢が現実とシンクロする代表的なものは、「モザイクラセン」や
SF大賞を受けた「バルバラ異界」。
「11人いる!」に始まり、宇宙空間にまで広がる世界観は、
「A-A’」「銀の三角」で更に複雑に発展する。
「マージナル」は、色んな要素を含んだ完成度の高い作品である。
核か環境汚染でヒトに子供が生まれなくなった未来の地球。
男ばかりになった世界で、“マザ”と呼ばれる唯一の疑似女性に、
各地方の町や村が“センター”で人工的に誕生した子供を貰う。
地上で暮らす人間は、この世界のシステムの全体像が見えない。
見えないが、何かおかしいぞと感じる者たちが、物語を進展させていく。
興味深いのは、これまで萩尾作品に度々出てきた、人間の性別の問題。
萩尾作品には、性転換する種が登場し、物語の核になっている。
生物界には性が未分化だったり性転換するものがいる。
高等生物には現在のところ見られないが、環境ホルモンが生物の♂♀の
バランスを崩すということが、実際に起きている。
将来人間にもそれが起こらないとは、誰が予測できようか。
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