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Posted by Ru Na - 2016.02.08,Mon
近日、X線天文衛星が打ち上げられるという記事を読んだ。
天体は、可視光以外に赤外線や電磁波を出していて、
それらの8割がX線でしか観測できないのだという。
目に見えないそれらを観測することで、星の誕生や死、
銀河団の形成や動きを解明するのに役立つらしい。
ブラックホールが引き起こしている時空のひずみまで、
観測できるのだという。

世界は人の目に見えないもので満ちている。というより、
人の感覚は世界や宇宙空間のほんの一部しか捉えられていない。
人が見ることができるは赤外線から紫外線の間の七色にすぎないが、
金魚や鳥は更に多くの色が見えているらしい。
人にとっては♂♀同色で性別の見分けが付かない鳥も、
かれらには女の子の色や男の子の色、といった其々違う色が見えるらしい。

      

音に関しても、犬は人の耳に届かない高音を聞くし、
象は人に聞こえない低音で、ぺちゃくちゃおしゃべりをしているという。
猫が誰もいない空間を凝視して毛を逆立てるのも、
多分そこに、人の感覚に掬い上げられない何かが在るのだろう。
匂いの発散で、仲間に危機を伝える樹木など、
人の五感の外にある世界を、ようやく“科学”によって、
存在証明でき始めているが、それでも人は依然として、
限られた知覚の中のみで、これが世界の全てであると信じ、
人にとっての“現実世界”から逃れられないでいる。

      

以前読んだ本に、動物が生まれて死ぬまでの間に打つ心臓の鼓動回数は
同じで、寿命の短いネズミは長いゾウより鼓動が速い。
つまり、ネズミにとっての時間は凝縮されている。という話があった。
そうか、寿命が3~4年のメダカの1時間は、人の20数時間に相当するのか、
と思うと、「ちょっと待っててね。」と、メダカたちに待ってもらう時間が
かれらにはかなりの長時間の待ちぼうけだろうと、
メダカを世話しながらいつも申し訳ない気持ちになる。

時間は決して一様に流れている訳ではない。
筒井康隆が初期の小説でよく描いている、人間の時間でも、
人によって状況によって、時間が伸び縮みするという感覚に
共感を覚えたものだ。
しかしこれは、あくまでも想念上の時間。
天体の運動で生じる現象を、人は“数”でうまく刻んで、
地球上では普遍で不変な“時間”を発見(発明?)して、指標として
人間世界の中央に置いた。

私は時計の造型がとても好きである。
ドットが数文字を塗り替えていくデジタルではなく、円盤上に
ゆっくり休みなく2本の針が動いていくアナログ時計が。
この端整で無駄のない形の起源は、おそらく日時計だろうが、
日時計の動く針は太陽の影。地球の軌道がもたらす季節のうつろいを
そのまま映している。
シャルトル大聖堂の、ひっそりとした「日時計の天使」を思い出す。
時や暦は神の領域なのか。

地球上では不変の法則を持つはずの時間が、宇宙空間レベルになると、
それが不変ではなくなるという。
時が淀んだり歪んだり、逆流したりするという宇宙空間は、
想像の域を超えているが、この時空間の歪みを計算に入れなければ
宇宙ロケットは飛ばせないというので、
やはりこれも現実的に人の世界と結びついている。







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