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Posted by Ru Na - 2016.01.08,Fri
TV番組はリアルタイムでしっかり見られることが少なく、
気になる番組は、レコーダーのHDDに録っておいて
後で小出しに何回かに分けて見ることが多い私。
年末放映したNHK・Eテレの“2015年音楽ハイライト”を、
そんなふうに見ていたら、15年度に亡くなった著名な音楽家に、
クルト・マズアさんの名があった!

12月19日。報道はされていたのだろうが、忙しくて気が付かなかった。
“音楽ハイライト”でも、さらっと流しただけ。
あまり大きく扱われていなかったのでは。何故?
この世界の時代の流れを変えるのに大きく貢献した巨匠を・・。

ベルリンが東西に分断されていた冷戦時代、東独のライプツィヒは
民主化運動の急先鋒で、ゲヴァントハウスの指揮者マズアさんは
その中心にいた。
ベルリンの壁崩壊前夜、激しさを増す民主化デモに、東独政府は
軍隊を出そうとしていたが、最高指導者ホーネッカーが、
市民に影響力のあるマズアさんに意見を聞こうと言い出し、
マズアさんは、軍隊は出さない方がよろしい。と答えたので、
政府は武力鎮圧をしなかった、とそんなエピソードが私の持っている本に
載っている。その真偽はともかく、
マズアさんは、市民にも政府にも冷静な行動を呼びかけ続け、
結果、「プラハの春」「天安門」の二の舞は避けられ、
ベルリンの壁は流血を見ないで開き、その民主化の流れは
ソ連邦の崩壊に繋がり、東西冷戦時代は終わりを告げた。

東西ドイツ統一記念コンサートで、ベートーヴェンの第九を指揮。
この感動的な演奏を、日本でも多くの人がTVで見ただろう。
私もいたく感銘を受けた一人である。
その後NYフィル、ロンドンフィル、フランス国立管の主席指揮者や
音楽監督を務め、私はその重厚な響きに心惹かれてきた。

そんなマズアさんが我が町にやって来たのは2009年の12月。
「えっ、あの生きた伝説の巨匠の演奏が生で聴けるなんて。」と、
足と心に翼が生えたように音楽堂に向かった。
メンデルスゾーン基金主催の2日間にわたるコンサートとシンポジウムで
名付けて「ミステリアス・メンデルスゾーン」。

ゲヴァントハウスは、市民階級による最古のオーケストラホール。
このゲヴァントハウス管を大きく発展させたのが、
1835年に主席指揮者に就任したメンデルスゾーンである。
裕福な家庭に生まれた彼は、自らの資金でライプツィヒ音楽院を設立。

ライプツィヒは、ゲーテ、シューマン、リスト・・と、
綺羅星のような作家や作曲家ゆかりの文化都市。
そして言うまでもなく、J.S.バッハの町。
そのバッハを再評価し彼の音楽を世に復興させたのは、
このメンデルスゾーンで、聖トーマス寺院前のバッハの像も
彼が資金を集めて建立したものらしい。

シンポジウムでは、ゲヴァントハウス管のメンバーによる室内楽演奏などの後、
有名なのにまだその評価が十分でないメンデルスゾーンの音楽を、
もっと世に伝えようと努めているマズアさんや、研究家による
興味深い話の後、会場からの質問を募った。
誰もバッハ関連の事を話さないし聞かないので、私がおずおずと質問した。

メンデルスゾーンの音楽は、時々「無言歌集」の楽譜をピアノで拾い読みしているが、
バッハの対位法の影響を、素人の私は見つけられないでいる。
それで専門家の方々の意見を是非聞きたかったのだ。
そして、楽曲への直接の影響より、前の時代の音楽の再発見という点に
メンデルスゾーンの真骨頂がある、という説明をして頂いた。

この日の様子を載せているHPを見つけた。
(私のバッハの質問のことも書いてあります。)

http://www.oekfan.com/review/2009/1214.htm

シンポジウムの後、関係者はホールのロビーで立食パーティ。
会場の世話をしていた方が、私にも出席のお誘いをして下さった。
シャンパングラス片手に、隅っこで舞い上がるような気持ちでいたら、
ミッチーさん(井上道義さん)が、近づいて来て、
「良い質問をありがとう。」と、私のグラスにカチッと軽く乾杯して
また去っていった。
緊張した気分が次第にほぐれて、思い切ってマズアさんの近くへ。


  ― 2につづく ー








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