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Posted by Ru Na - 2015.06.11,Thu
同級生の演奏で始めて聴いたベートーヴェンのピアノソナタ“悲愴”に
心惹かれて、高校1年の時に買ったレコードと楽譜。
何とか自分でもこの魅力的な曲を弾いてみたいと、
毎日ピアノの前に座って、楽譜から音をひろっていった。

   

子供の時分、ピアノ教室に通っていた。
親も私も全然熱心ではなく、それどころか教室に通えばご褒美に
少女まんが雑誌を買ってもらえたので、そちらが主な目的になっていた。
先生にも匙を投げられたくらい練習もちゃらんぽらんとしたものだったので、
当然少しも上達せず、他の学習者が必ず通るハノンなどのスケールの練習も
パス。バイエルとツェルニー30番、100番と、ソナチネアルバムを
少しかじった程度で、中学時代にはもう教室をやめていた。

練習も練習曲もあまり好きではなかったが、ピアノや音楽が嫌いだった
わけではない。
それどころか、何かのきっかけで突然好きになった曲には熱中した。
子供の頃、習ったわけではないが、他の子と同様、“エリーゼのために”や、
“乙女の祈り”は弾きちらしていたし、中学生の頃、ピアノが得意な友人が
弾いていた、ショパンの“子犬のワルツ”を、自分も弾きたくなって、
楽譜を買って練習したりもしていた。

このベートーヴェンの“悲愴”には、更に情熱を傾けて、
ついには私の数少ないレパートリーに加わったのだった。
楽譜を指で読みながら、常に頭にあったのはリヒテルの響き。
買ったレコードの演奏者がリヒテルだったのは偶然だが、
後日他の奏者の“悲愴”をいくら聴いても、自分の“悲愴”のイメージとは
どこかズレがあり、その後次々と知っていくことになるベートーヴェンの
32曲のピアノソナタ全体の、私のベートーヴェン観は、
リヒテルによって形成されたと言っても過言ではない。






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Ru Na
性別:
女性
職業:
金沢市在住の美術家
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