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Posted by Ru Na - 2013.10.31,Thu

10月に入ってもサギコロニーのサギたちは渡らずに残っていた。
日に日にその数は減るとはいえ、半ば頃もまだ70羽ほど
日暮れの時間になると戻って来ていた。
工事の準備も、また工事にかかっている様子も無かった。

大型台風が伊豆大島を襲った翌々日の19日、雨の止むのを待って
夕方サギコロニーに行ってみた。

何か様子が違うと、右岸から、中州の木がまばらな所越しに左岸を見ると、
工事はせずにそのまま残す約束のはずの木立が無くなっていた!!!

 

何かの間違いではないか・・・
この場所より少し下流の河岸は、中州を残す関係上、川幅確保のため、
削られるのもやむを得ず、とこちらも了承し、
また、この木立の下流端にある水門の周囲も、少しだけ削りたいという
河川課の言い分を呑んでいたのだが・・・・・。

急いで左岸に回ると、まだ工事業者が二人、作業の後片付けをしていた。
「ちょっと木を切りすぎのようです。様子を見させて下さい。」と、
現場に行くと、残るはずの木立の半分が切られていた。



ここはサギの巣の密集地帯。重要な場所の一つである。
下の写真の上部は、9月9日の夕方、採餌から戻ってきたサギたちが休んでいる。
下部が現在の様子。サギが点々ととまっていた木がことごとく無くなって、
遊歩道の端のコンクリートが剥き出しになっている。



業者は図面を二枚持っていて、一枚は9月24日に野鳥の会と河川課が
工事前の最終確認として現地立会いした時使ったもののコピー。
向こうが見取り図など用意しないものだから、私がグーグルマップを参考に
簡単な図を作って、残したい木立や中州の位置を、ざっと青く塗ったもの。
二枚目は、それを実測図と照らして図面上で計ったらこうなりました、
という業者の工事図面。
先の図面はあくまでも木立や中州の位置の目安のためのものにすぎないのに、
 何か汚いやり方でペテンにかけられたような気持ちになった。

「この工事図面通りなら、もっと木を切らなければなりません。」と業者。
「とにかくここで止めてください。河川課とまた話します。」と私。
話すうちに、左岸と右岸の工事業者は別なことが分かった。
同一業者なら、川幅確保のための調整ができるだろうが、
別々なら、図面どおりにやるしかない。
また、取り除く土砂の量で県と契約していることも分かった。
河川課が話していたような川底の掘削もしないらしい。
そうなると業者としても、なるべく河岸を多く削って、土砂の量を
確保したいに違いない。

帰ってから野鳥の会副支部長に大急ぎで連絡した。
翌日は日曜日。副支部長は月曜の午後なら動けるとのことで、
翌々日の午後、現地で落ち合うことにした。

以下、この件をいつも心配してくれる友人Nに送ったメールから。

月曜の朝、先日現地で話した河川課の人に電話すると、
「あれはうち等がそう指示したんだわ。やっぱりあれくらい削らんとダメやわ。
伊豆大島の事があるから、土砂をもっと取ってくれー、という電話が
ジャンジャンかかって、うち等も困っとるんや。」
嘘ばっかり。工事図面は伊豆大島災害の前に出来ているはずなのに。
電話で喧嘩してもしようがないので、河川課の人とも午後現地で会う事に
なりました。

サギコロニーに少し早めに行って、まず副支部長と、
9月24日に河川課と現地立会いで合意した時の図面と、
業者の図面を私が写真に撮ったものを照らし合わせてみました。
先の現地立会いに使った図面は、河川課が見取り図を用意してくれないものだから、
私がグーグルマップを元に作った簡単なもので、
その図上に、この中州、この木立・・と、残す場所を青で塗りつぶし、
削る箇所をボールペンで記したものです。
その木立の削る部分は、面積では全体の5分の1以下。
ところが河川課は、そのメモ代わりの図面を実測図と重ねて、
木を切る範囲を拡大したようです。

まだ工事にかかっていない右岸もどうするつもりか、現地で説明して欲しいと
河川課に言っておいたので、
河川課から二人、両業者から数人づつがやって来て、
先ずサギコロニーの右岸を一緒に歩きました。
両業者の責任者らしい方々は実直そうで、右岸は我々の要望どおりに
なりそうで、ひとまず安心。
問題の左岸の木立。図面通りならもっと木が伐採される事になりますが、
業者さんがこれ以上切ると何も無くなるからどうしようと、
むしろ残しておいてくれた事が分かりました。
それで、現状維持ということで、結局折り合いをつけたのですが、
その間ずっと、私は河川課の人と喧々囂々と言い合い、
はたから見たらまるで漫才のようだったでしょうね。
「苦情の電話」というのも、追求していくと、そんなに多くもないと分かったし、
サギたちを心配する電話も、同時にかかってくることも引き出せました。

まったく、隙を突かれた感じです。
工事は少しづつ進んでいます。サギたちはまだ30羽以上います。
コロニーの3箇所を残すため、河岸の他の場所の木々はみな切られます。
ハグロトンボが群れていた水辺の草も無くなってしまいます。
ずい分様子が変わるでしょう。
サギたちが来年安心して戻って来られるかも心配です。

防災のためとはいえ、自然の草木を切る事に何のためらいもない、
そんな石川県の姿勢や感覚に、何か荒廃したものを感じ、
情けなくなります。

自然を尊敬し、うまく折り合って分相応に生きるという、
アイヌや北米先住民のような、先人の文化と知恵を、
我々現代人はどうして継承できなかったのでしょうね。


で、こんなことがあるものだから、「内川鎮守の森ギャラリー」の
作品搬入を目前にしても、河川工事の監視はますます緩められず、
ますます睡眠時間を削る日々が続いたのだった。

  
  
  
    
    
    
    
    

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