7月に入って雨の日が増えてきた。
雨の合間を塗っては、せっせとサギコロニー通いをした。
雨の中、じっとしているコサギのヒナたち。
河川課の人が何も無いと言っていた左岸・上流寄りの木立は、
今やこのコロニーのサギ密集地帯のひとつ。
一部削りたいという中州は、見れば見るほど幅が狭くて、
ここを3分の1削ると、巣をかける木にも大打撃である。
中州の地面のすぐ向うには、本流の水面が見える。
また中州を削るとなると、先端部の砂州や浅瀬も残らないと河川課は言う。
ここはサギたちが休んだりお見合いしたり喧嘩したり、
また成長したヒナたちが餌取りの練習をする、
コロニーにとって大切な場所である。
そもそもこれらの河川工事が本当に必要なのか、ずっと疑問に思ってきた。
以下は野鳥の会支部報の、S川中流域鳥調査特集のために書き、
文にトゲがあるからとボツになった原稿の抜粋である。
2008年のA川氾濫以来、水害対策の名目ならどんな工事もまかり通るような
空気になり、今回の中流域の工事も、流水量確保のため中流から河口まで
順次草木を伐採し、徹底的に中州を取り払い、岸をコンクリート製に替える計画の
一環である事が次第に分かってきました。
A川氾濫時の最高水位は3.36m、堤防の高さは3.9m。住宅地の浸水は
水害時に閉鎖が決っている堤防切り欠き部の閉鎖が遅れたという人的ミスによるもの、
と当時の地元紙にも載りました。
A川より幅も河川敷の余裕もあるS川の流下能力は、そんなに簡単に避難判断水位を
超えるようなものでしょうか?百年に一度の水害に備えると、市民の反対を押し切った
上流のダムの建設は一体何だったのでしょうか?
公共事業拡大のため、着手し易い河川の土木工事を単に増やしただけではないか。
新幹線開業に託け河川改修予算を大幅に増額したのは、治水より河川敷も全て、
所謂「都市型公園」風に改造したいだけではないかと疑いたくもなります。
この川は既に上流に治水目的のダムが三つある。
20数年来、本流の氾濫による浸水はない。
大雨の度浸水する箇所は、すり鉢状の地形だったり、用水路の構造などに
問題があると思われる。そちらの個別的な対処の方が早急に必要なのでは。
温暖化による嘗てないような水害が日本各地に起こっているけれど、
大水害に備えるには中途半端である。
草木を無くして川をコンクリートの水路にしてしまうのは、
かえって大災害を招くことになるかもしれない。
そして、本当の自然の猛威に対しては人間は無力だと自覚して、
危険が予想される場所にはなるべく住まないという知恵も必要かもしれない。
・・等々、考え出すときりがない。
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