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Posted by Ru Na - 2013.03.13,Wed
                                

気になっていた展覧会、「ス・ドホ パーフェクト・ホーム」展を
金沢世紀美術館に見に行った。



天井の高い各展示室に、向こうが透けて見える薄い布を使った
ほぼ実物大らしい家の空間が作り出されていた。
ドアノブや壁の電気のスイッチ、排気口まで薄布で細かく再現していて、
内部を歩くと、室内と室外の空間を区切る壁が不思議な浮遊感のある
ものになっている。
「家」という、外界から壁で仕切られた個人的なスペースの存在を
改めて考えさせる展覧会だった。

モニターに映し出された、太平洋を跨いでNYとソウルを結ぶ橋の上に
置かれた家のプロジェクト。
韓国の伝統的な家屋と庭を、大きなトレーラーに載せて移動可能にした模型。
光州ビエンナーレにおける「隙間ホテル」の映像。キャンピングカーならぬ
ホテルカーで、宿泊客が来ると、路地や家と家の間の小さな空間などに
移動し、そこがホテルの場所になるというものである。

N.Yのアパートの建物内部に、韓国の伝統家屋が入り込んでいるといった
展示を見て、別の展示室に行くと、
N.Yのアパートの棟を対角線で切断して左右に開いた、巨大なドールハウスがあった。
各階の各部屋の様子が、内装、家具調度、持ち物に至るまで、
そこに住む人の十人十色の趣味やライフスタイルが分るように、
ミニチュアで細かく再現されているのが面白い。
一部天井までひどく壊れている部屋が、と作品の後ろに回ると、
空を飛んできて墜落したらしい韓国の伝統家屋が、このアパートにぶつかって
内部まで入り込んだ状況を現しているのが分かった。

どこまでも続く広大な空間を、ヒトは壁でさえぎり箱状のものを作って、
その中に棲んだり、色んな活動をしている。
雨風や望ましくない侵入者や、自然の猛威から逃れるための壁は、
まことに薄くて脆いものなのだけれど、
この“家”という小さな場所に潜り込んで、安心して生きている。

そういう“家”というものを、改めて別の視点から考え、
感じさせる契機となるような興味深い展覧会だった。

     






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金沢市在住の美術家
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