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Posted by Ru Na - 2012.05.12,Sat
先日からの6月下旬並みの暑さはどこへ。
私にとってはありがたいことに、空気は春先のような冷たさ。
小雨混じりの中、
「 幻のコレクション 中国陶磁名品展 ─イセコレクションの至宝─ 」
を観るため、県立美術館へと足を運んだ。

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名品揃いのイセコレクションの名は聞いたことはあるが、
古くからの美術コレクションだと思っていたら、会場の説明板によれば、
食品のイセグループが文化基金を創設して今年で30年という、比較的新しいものらしい。

古美術から現代美術に至るまで、幅広い作品の収集を行なっているこのコレクションの中で、
中国陶磁は、まだほとんど公表されておらず、
旧安宅コレクションのものだった品も含まれていて、その質の高さのふれこみに、
これは見逃せないと思っていたのだった。

新石器時代の土器から始まり、清朝まで、各時代の器を中心とした陶磁器の展示。
平日の夕方とはいえ、観ている人は少なく、ゆっくりと見て回ることができ、
ため息がでるほど素晴らしい品々を、心ゆくまで堪能した。

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北魏時代の官人の小像。
横から見ると、
なだらかな背中のラインが
百済観音像のように
美しかった。
仏像女子が見たら、喜びそう。







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 唐三彩の小瓶。
 今まで結構唐三彩は見たが、
 こんな見事な釉の流れは
 見たことがない。
 川端康成全集第1巻の表紙に、
 この瓶の写真が使われたと
 会場の解説にあった。
 旧安宅コレクションのもので、
 川端康成のお気に入り
 だったのだろうと想像する。




resize5229.jpg
 こちらの「三彩女子」は
 割と大きい。
 見事な造りである。
 やはり副葬品なのだろうか。
 せっかくカタログを買ったのに、
 解説が少なく、特に
 作品ごとの説明がないのは
 残念。







bd90549c.jpeg

 

 北宋の青白磁。
 窪みに溜まった釉の
 うっすらした水色が、
 とても美味しそう。

 私は李朝の青磁白磁が好きだが、
 中国のものはつるんとして、
 この気品にも強く惹かれる。



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明時代の染付けと五彩。いずれも景徳鎮窯。

同じ景徳鎮でも色んなスタイルがあり、時代によっても変わってくるのが、
この展覧会でよく分かった。
清の時代の景徳鎮にはまるで柿右衛門のようなものがあったり、
元祖セーヴル焼きといった風情のものもあった。

常設展示の特別企画でも、「加賀藩主前田家の調度 -唐もの-」をやっていて、
北宋の青磁皿や、景徳鎮の五彩筆箱など、
イセコレクションとよく似た作りのものが見られた。
やはり贅沢が許される向きはみんな、こういったものを側に置きたかったのだなと思う。


私はさほど焼き物全般や、中国陶磁を知っている訳ではないが、
展覧会で並んだこれらが、たいへん上質のものということは判る。
道具、工芸品は使ってこそ生きるものではあるが、
このくらいの水準のものは、個人所有より、誰でも見られる公の財産にすべきと
私は考えるが、もしどれか貰えるなら、どれを選ぶかしら、
古田織部を主人公にしたコミック、「へうげもの」の登場人物ならきっと、
この内の一点を観るためなら、千里の道を馬で駆け、所有するためなら、あるいは
城を明け渡すかもしれないなどと思いながら、美術館を出たのだった。

美術館の裏手の急な階段を降りて帰ろうと、建物の横に回ったら、
「ツー、ツー、ツー」とかすれた声で、小鳥の群が飛んで来た。
頭上の木々の間を飛び回っている。
雨も降っているし、もうかなり薄暗かったが、持参のカメラでズームアップ。
お腹がオレンジ色である。ジョウビタキかしら?
(後でヤマガラと判明。)

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ジョウビタキはこんな時期までいるのかしら。
撮った写真を後で見ると、エナガのようなお腹が白い子も一緒に写っていた。

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金沢市在住の美術家
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