見たこと、聞いたこと、感じたこと、考えたこと。
Posted by Ru Na - 2011.09.29,Thu
あのウラジミール・アシュケナージが、息子のヴォフカさんと共演するピアノデュオの
リサイタルを聴きに、県立音楽堂に母と出かけた。
このリサイタルの情報を新聞で見て、
展覧会の前だったら忙しくて無理だけれど、
始まってからなら何とか行けそうと、
売り切れたら大変と思い、早々にチケットを
買いに走ったのだけれど、
行ってみると結構空席がある。
指揮者としてN響の音楽監督を長く務め、
TVでも度々そのコンサートを放映していたから、
金沢の音楽ファンにはそう珍しくないのかしら。
としても、せっかくアシュケナージの生のピアノが
リーズナブルな値段で聴かれるいい機会なのに。
あのペーター・シュライヤーが「冬の旅」を歌った
時も、あの奇才ギドン・クレーメルが最初に金沢に
来た時でも、他の都市ならチケット発売当日に
売り切れてしまいそうなコンサートに空席が
あったのだった。
昔からクラシック音楽ファンが結構多いはずの金沢の七不思議の一つ。
ともあれ、わくわくしながら3階のバルコン席に着く。
プログラムは、 プーランク 2台ピアノのためのソナタ
ラフマニノフ 組曲第1番「幻想的絵画」
休憩を挟んで、 ムソルグスキー 禿山の一夜 (V.アシュケナージ編)
ラヴェル マ・メール・ロワ
ラ・ヴァルス
我々の席は舞台を左上から見下ろせる位置で、ヴォフカさんの手元がよく見えた。
しまった、向かい側のバルコン席を買っていたらウラジミールさんの手がよく見えたのに。
実は息子さんもピアニストだとは知らなかったので、デュオとなると実力の差がみえたり
息子さんを全面に出して、この上もなく美しい音色と評判のウラジミール・アシュケナージの
音色があまり聞こえないのではと、ちょっと心配していたのだが、
二人が2台のピアノに向かい合わせに座ると、とたんに息の合った力強い音が立ちのぼった。
ヴォフカさんの手を見ていないと、どちらがどの音を奏でているのか分からないくらい。
ウラジミール・アシュケナージは旧ソ連生まれ。ソ連政府の国の威信の重圧を背負って
出場した1955年のショパン・コンクールでは2位に終わり、
その時審査員をしていたミケランジェリがこの結果に怒って審査員を降りている。
60年代にソ連を離れ、70年代には指揮者としてもヨーロッパで活躍。
ブーニンがショパン・コンクールで優勝した年、日本では突然クラシック・ミーハー現象が起き、
その頃のとある音楽雑誌のアンケートでは、ピアノ部門の人気No.1が
アシュケナージだったと記憶している。
特にベートーヴェンが人気。広いレパートリーとバランスのとれた演奏で安心できるけれど、
あのデーモッシュな70年代のリヒテルのベートーヴェンが好きな私には、少し物足りなかった。
しかしある時、自分の理想のモーツァルト・ピアノコンチェルトを弾いているピアニストを求めて、
CD屋でいろいろ試聴させてもらっていたら、アシュケナージが浮上してきたのだった。
それ以来、TVでモーツァルトの弾き振りのなんとも贅沢なコンサートや、
深い痛みを共有するショスタコーヴィチの交響曲の演奏など、しばしば堪能してきた。
ショスタコのピアノ曲、「24のプレリュードとフーガ」は、アシュケナージのものが
最高だと思っている。
プーランクは、プーランクにしては少し重々しい印象だったが、
次のラフマニノフで、メリハリと繊細な情感にもうノック・アウト。
ムソルグスキーにも、すっかり引き込まれた。
そして、ラヴェルの「ラ・メール・ロワ」の表情豊かなこと。
「ラ・ヴァルス」は、2台ピアノで聴くのは初めてだったが、
(いつも聴いているのは、グレン・グールドがホロヴィッツをおちょくって作ったアルバムのもの。)
この曲を10代の頃初めて、ラジオから流れるオーケストラ版で聴いて、
まるでターナーの霧と蒸気に包まれた絵画のような、何とも不可思議な曲、
こんな音楽がこの世に存在するのか、と驚いた時の気持ちを思い出させるような、
雲の中で上昇したり下降したり、その雲の合間に見える館の舞踏会が、
追憶の内の遠い情景のようにくるくる旋回する浮遊感が、2台のピアノで醸し出された。
アンコールは私の知らないシューマンの甘いメロディー。
コンサートが終わって、会場でCDを買った人限定の
サイン会があった。
早速列についたが、サイン会にこんな長蛇の列が
できるのを初めて見た。
聴きに来た人の3分の1くらいが
感激のあまり思わずCDを買ったのかしら。
こんな力の入った
コンサートの後すぐに、
こんな大勢の人に
サインするのは
とても大変でしょうに
お二人とも始終
ニコニコされていた。
私のお宝になったCD。右がウラジミール、左がヴォフカ・アシュケナージのサイン。
リサイタルを聴きに、県立音楽堂に母と出かけた。
このリサイタルの情報を新聞で見て、
展覧会の前だったら忙しくて無理だけれど、
始まってからなら何とか行けそうと、
売り切れたら大変と思い、早々にチケットを
買いに走ったのだけれど、
行ってみると結構空席がある。
指揮者としてN響の音楽監督を長く務め、
TVでも度々そのコンサートを放映していたから、
金沢の音楽ファンにはそう珍しくないのかしら。
としても、せっかくアシュケナージの生のピアノが
リーズナブルな値段で聴かれるいい機会なのに。
あのペーター・シュライヤーが「冬の旅」を歌った
時も、あの奇才ギドン・クレーメルが最初に金沢に
来た時でも、他の都市ならチケット発売当日に
売り切れてしまいそうなコンサートに空席が
あったのだった。
昔からクラシック音楽ファンが結構多いはずの金沢の七不思議の一つ。
ともあれ、わくわくしながら3階のバルコン席に着く。
プログラムは、 プーランク 2台ピアノのためのソナタ
ラフマニノフ 組曲第1番「幻想的絵画」
休憩を挟んで、 ムソルグスキー 禿山の一夜 (V.アシュケナージ編)
ラヴェル マ・メール・ロワ
ラ・ヴァルス
我々の席は舞台を左上から見下ろせる位置で、ヴォフカさんの手元がよく見えた。
しまった、向かい側のバルコン席を買っていたらウラジミールさんの手がよく見えたのに。
実は息子さんもピアニストだとは知らなかったので、デュオとなると実力の差がみえたり
息子さんを全面に出して、この上もなく美しい音色と評判のウラジミール・アシュケナージの
音色があまり聞こえないのではと、ちょっと心配していたのだが、
二人が2台のピアノに向かい合わせに座ると、とたんに息の合った力強い音が立ちのぼった。
ヴォフカさんの手を見ていないと、どちらがどの音を奏でているのか分からないくらい。
ウラジミール・アシュケナージは旧ソ連生まれ。ソ連政府の国の威信の重圧を背負って
出場した1955年のショパン・コンクールでは2位に終わり、
その時審査員をしていたミケランジェリがこの結果に怒って審査員を降りている。
60年代にソ連を離れ、70年代には指揮者としてもヨーロッパで活躍。
ブーニンがショパン・コンクールで優勝した年、日本では突然クラシック・ミーハー現象が起き、
その頃のとある音楽雑誌のアンケートでは、ピアノ部門の人気No.1が
アシュケナージだったと記憶している。
特にベートーヴェンが人気。広いレパートリーとバランスのとれた演奏で安心できるけれど、
あのデーモッシュな70年代のリヒテルのベートーヴェンが好きな私には、少し物足りなかった。
しかしある時、自分の理想のモーツァルト・ピアノコンチェルトを弾いているピアニストを求めて、
CD屋でいろいろ試聴させてもらっていたら、アシュケナージが浮上してきたのだった。
それ以来、TVでモーツァルトの弾き振りのなんとも贅沢なコンサートや、
深い痛みを共有するショスタコーヴィチの交響曲の演奏など、しばしば堪能してきた。
ショスタコのピアノ曲、「24のプレリュードとフーガ」は、アシュケナージのものが
最高だと思っている。
プーランクは、プーランクにしては少し重々しい印象だったが、
次のラフマニノフで、メリハリと繊細な情感にもうノック・アウト。
ムソルグスキーにも、すっかり引き込まれた。
そして、ラヴェルの「ラ・メール・ロワ」の表情豊かなこと。
「ラ・ヴァルス」は、2台ピアノで聴くのは初めてだったが、
(いつも聴いているのは、グレン・グールドがホロヴィッツをおちょくって作ったアルバムのもの。)
この曲を10代の頃初めて、ラジオから流れるオーケストラ版で聴いて、
まるでターナーの霧と蒸気に包まれた絵画のような、何とも不可思議な曲、
こんな音楽がこの世に存在するのか、と驚いた時の気持ちを思い出させるような、
雲の中で上昇したり下降したり、その雲の合間に見える館の舞踏会が、
追憶の内の遠い情景のようにくるくる旋回する浮遊感が、2台のピアノで醸し出された。
アンコールは私の知らないシューマンの甘いメロディー。
コンサートが終わって、会場でCDを買った人限定の
サイン会があった。
早速列についたが、サイン会にこんな長蛇の列が
できるのを初めて見た。
聴きに来た人の3分の1くらいが
感激のあまり思わずCDを買ったのかしら。
こんな力の入った
コンサートの後すぐに、
こんな大勢の人に
サインするのは
とても大変でしょうに
お二人とも始終
ニコニコされていた。
私のお宝になったCD。右がウラジミール、左がヴォフカ・アシュケナージのサイン。
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