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Posted by Ru Na - 2010.12.25,Sat
Joyeux  Noël à tout le monde!

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一年の最後の月、クリスマスから降誕節が始まる。
イエスキリストの誕生日は、正確には分かっていないが、
四世紀頃に、一年で一番長い夜の季節にこそ希望の灯をともそうと、
クリスマスを12月25日に定めた、という説を聞いたことがある。
それから幾世紀、クリスマスは民俗、宗教を超えた世界的な楽しい行事となり、
世界中あちこちで街角は華やかに飾られ、人々は思い思いの祝祭を過ごす。

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寒波がやって来て、舞う雪が薄っすらと街を覆い始めたイヴに
我が家でも、ささやかな飾りつけの下で、ささやかなクリスマスの食卓を囲んだ。

クリスマスには様々な思い出がある。resize2013.jpg
祖母がクリスチャンだったので、
子供の頃はよく教会のクリスマス礼拝に
雪道を歩いて出かけたものだった。
24日の晩になると、家の外から
よく賛美歌が聞こえた。
ローソクを手にしたクリスマスキャロルの
一行が訪ねて来たのである。
私も一度キャロルに参加したことがある。
みぞれ混じりの宵、教会の信者の家を
一軒づつ回って歌うのは楽しかった。

キリスト教系の幼稚園に行っていたので、
小学生になっても、そのまま同じ幼稚園の
日曜学校に、中学を卒業するまで通った。
そこでは、クリスマスにキリスト降誕の
聖劇を子供たちで演じる慣わしだった。
最年少クラスは、たいてい羊の役。
大きくなるにつれ、羊飼い役や宿屋の人、
東方の三博士、といろんな役をした。
天使役になれると、白くて薄いベールを
まとい、頭にきらきらした銀の輪を被れるのが嬉しかった。
小学生の時はついに、あこがれの聖母マリア役が一度だけ回ってきた。
(途中とちってしまったが。)
中学生になると、もっぱら聖歌隊。進行役でもある。
 
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 その後、宗教を外側から見るようになり、
 教会から離れてしまったが、
 降誕劇で覚えた台詞は、
 今でもすぐ口をついて出てくるし、
 聖書の物語を沢山聞いたのは、
 後年、西洋美術や文学などを
 理解する上で、大いに役立っている。 
 何より、幼い頃から美しい旋律と
 美しい言葉に満ちた賛美歌に
 触れられたのは幸いだったと思う。


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 まぶねのかたえに われは立ちて
 受けたるたまもの たたえまつる
 いのちのいのちよ わがものすべてを
 とりて よきしたまえ
  
 
 天(あめ)には栄え 御神にあれや
 土には安き 人にあれやと
 御使いたちが たたうる歌を
 聞きてもろびと ともに喜び
 いまぞ生まれし 御子をたたえん
 
上の賛美歌は、J.S.バッハのモッテット、
下のものはメンデルスゾーンの作曲だと後年知った。
すぐれた音楽とすぐれた訳詩は(記憶にたよって書いているので
正確かどうか)小さな子供の胸にも深く刻み込まれる。

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それから、クリスマスの色彩。
私が子供の頃はまだ、クリスマスは一般的ではなく、
今のように飾りが街にあふれているということはなかった。
入園前のごく幼い頃から、親が目を離したすきに、一人でトコトコ幼稚園まで
遊びに行っていたほど幼稚園っ子だったらしい私の記憶に、
今もなおはっきり残っている光景がある。2歳ごろだったろうか。
広い玄関を入ったところの、広いホールの奥、磨きこまれた古い濃い茶色の床板に
大きなツリーが置かれていて、濃い緑の樅の枝に無数に飾られている金と赤の飾り。
赤・金・緑・茶 の日常では見られない色の組み合わせに、ただもう、うっとりとしていた。
園長先生が、金のリボンを十字にかけた赤い包み紙にくるまれた小箱を、
ツリーから一つはずして下さったのを覚えている。
それ以来、クリスマスは子供の頃の最も美的な色彩の日になった。

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南フランスのマルセイユに留学した時に知ったこと。
プロヴァンス地方では、「サントン」という素焼きの人形に色をつけたものを、
クリスマスに飾るのが一般的。
12月になるとマルセイユの中心街にサントン市がたつ。
それぞれの工房が店を出しているので、工房によって微妙に違う作りの人形を、
市を回って、お気に入りの表情をしたものを見つけるのが、マルセイユっ子の楽しみである。

古代ギリシアのタナグラ人形が起源というサントン。
旧港の近くの博物館で、とても古い大きなサントンを見ることができる。
プロヴァンスの伝統装束を着た人形が多く、キリストの生誕の情景を作って、
周りをプロヴァンス人達が取り囲むような形に配置する。
(私はあまり色んなサントンを買って来なかったので、それを今再現できないが。)
スペインの市場でも、似たようななものが売られていたが、
こちらはプラスチック製だった。
古いドイツ民謡に、樅の木を歌ったものが多数あることからして、
どうやらツリーはドイツなど北の国のものらしい。
イギリスでは、クリスマス三ヶ日の感覚で、26日はボキシング・ディといって、
プレゼントを開ける日らしい。
国によって様々な習慣があるが、特にヨーロッパでは、キリスト教以前の土着の宗教の
(例えばドルイド教など)風習の影響を、色濃く残しているように思われる。
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